研究課題/領域番号 |
22K17799
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
福井 裕介 岡山大学, 大学病院, 助教 (60824802)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 脳梗塞 / in vivo ダイレクトリプログラミング / 神経細胞新生 / ダイレクトリプログラミング / 脳梗塞モデルマウス |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞治療において、再灌流時に生じた活性酸素などによる海馬の神経細胞死が認知機能障害をもたらす。本研究では、経静脈的AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクター投与による脳内アストロサイトのptbp1遺伝子ノックダウンによって、海馬に神経細胞を誘導し、脳梗塞モデルマウスの認知機能回復を目指すことを目的とする。具体的には、①新規AAVベクターは尾静脈投与により海馬内に感染するのか、②海馬アストロサイトのptbp1遺伝子ノックアウトで新規神経系細胞の誘導が可能か、③認知機能傷害を改善するための最適な神経系細胞誘導のタイミングはいつなのか、④神経系細胞の誘導により認知機能は回復するのか、について検討を行う。
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研究成果の概要 |
ノックダウンすることでグリア細胞から神経系細胞を誘導できるPtbp1遺伝子の発現を阻害するプラスミドを、経静脈的投与により血液脳関門を通過し感染が可能なカプシドでパッケージングしたアデノ随伴ウイルスベクターを脳梗塞モデルマウスに投与した。投与8週目の新奇物体探索試験において、Ptbp1 KD群では新奇物体に対する接触時間の有意な延長を認め、認知機能の改善が見られた。また、海馬mCherry陽性細胞で、mCherry/NeuN二重陽性ニューロン様細胞が確認された。この海馬における新しい神経系細胞は神経回路のより多くの構築に寄与することで認知機能の改善につながると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脳梗塞の治療はリハビリを除くと急性期に限られていることから、in vivoダイレクトリプログラミングにより神経系細胞を誘導し、脳梗塞で失われた神経機能を再生することは、新たな治療戦略を提示する重要な役割を持つ。本研究では、海馬領域において神経細胞新生を亢進し、脳梗塞後のマウスの認知機能障害の改善に成功したことから本手法による治療介入の可能性が示された。また、経静脈的投与による遺伝子導入技術の確立は、研究面では、これまで樹立されていなかった遺伝性疾患モデル動物の作成を可能にし、治療面では、正常遺伝子導入による治療介入の礎となることが期待される。
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