研究課題/領域番号 |
22K17802
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
桑門 温子 (宮脇温子) 九州大学, 理学研究院, 特別研究員(PD) (60843836)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 老化 / 再生 |
研究開始時の研究の概要 |
骨格筋の健全性維持のためには、損傷時に幹細胞が適切に活性化・増殖・分化され、組織が再生されなければならない。老化により再生機能が低下する一方で、筋分化に機能するヒストンバリアントがクロマチン構造に蓄積されることが知られているが、その原因はいまだ不明である。本研究では、機能する時期が異なる複数のヒストンバリアントの老化によるクロマチン構造への取り込みの変化に着目し、これらの変化が再生にもたらす影響とそのメカニズムの解明を目的とする。このとき、数理モデルを構築し、老化による再生能力低下の原因となる因子を同定するとともに、その制御メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
骨格筋の健全性維持のためには、組織損傷時に幹細胞が適切に活性化・増殖・分化され、組織が再生されなければならない。老化により再生機能が低下する一方で、筋分化に機能するヒストンバリアントがクロマチン構造に蓄積されることが知られているが、その原因はいまだ不明である。本研究では、機能する時期が異なる複数のヒストンバリアントの老化によるクロマチン構造への取り込みの変化に着目し、これらの変化が再生にもたらす影響とそのメカニズムの解明を目的とする。このとき、数理モデルを構築し、老化による再生能力低下の原因となる因子を同定するとともに、その制御メカニズムを解明する。 マウスは寿命が短く加齢による老化の進行が急速なため、骨格筋老化の原因が、加齢により再生機能が低下したことにあるのか、DNA損傷等により細胞周期が停止した老化細胞にあるのか、区別が難しい。他方で、長寿命である樹木は基本的に加齢とともに老化は進行しないと考えられており、落葉樹では季節変化に応じて開葉と葉の老化が生じる。このように樹木では、加齢の影響を考慮する必要がないため、その組織である葉の生成と老化の制御メカニズムは理解しやすいと考えられる。そこで研究計画を見直し、加齢を考慮しない環境要因に対する遺伝子発現応答の数理モデルの構築を試みた。 本年度は、異なる緯度に生育するソメイヨシノの芽と葉の一年間を通したトランスクリプトデータの網羅的な解析を行った。芽のサンプルに対し、異なる環境と季節を特徴づけるいくつかの遺伝子発現プロファイルを同定するとともに、それらが温度変化によって説明できることを明らかにした。この研究成果は、第70回日本生態学会仙台大会(オンライン開催)で英語による口頭発表を行った。この内容は現在、論文を執筆中であり、国際誌への投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、必要なデータの取得とその網羅的な解析を行うことを計画とした。当初はマウスを使った解析を計画していたが、短寿命であり加齢の影響を受けるため、数理モデルが複雑になることが想定された。そこで当初の研究計画を見直し、その影響を考慮する必要がない上に環境要因を考慮することが可能な樹木に着目し、そのトランスクリプトームデータの網羅的解析を行うこととした。これにより、樹木の組織である葉の生成と老化の制御メカニズムは理解しやすいと考えられる。樹木の一年間を通したトランスクリプトデータの網羅的な解析を行ったが、研究計画に変更が生じたためマウスの解析は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では「再生メカニズムをエピゲノムレベルで乱し、再生機能を低下させ、結果として組織の老化を進行させる支配的因子は何であり、それはどの時点で誘発されるのか」を明らかにする。そのため、今後は時期に特徴的なヒストンバリアント等の解明を行う。この結果を元に、加齢の影響を考慮しないが環境要因を考慮した葉の再生・老化モデルの構築を行う。数理モデルのパラメーター決定のため、必要に応じて実験データを追加取得する。また、構築した数理モデルを用いて、時期や温度などの環境要因が再生機能低下にもたらす影響を予測する。
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