研究課題/領域番号 |
22K17824
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 (2023) 名古屋大学 (2022) |
研究代表者 |
中井 剛 藤田医科大学, 医学部, 講師 (80753285)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / 中枢末梢相関 / 代謝 / モデルマウス / APP-KI |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease; AD)における次世代モデルマウス(APP-KI)を用いて、AD病態により引き起こされるエネルギー代謝調節に関わる中枢末梢相関の維持・破綻機構の解明を行うことを目的とする。具体的にはカロリー制限を行った次世代ADモデルマウスにおける代謝恒常性の破綻に対し、末梢と中枢双方からの統合的な解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究はアルツハイマー型認知症(AD)における次世代モデルマウス(APP-KIマウス)を用いて、AD病態により引き起こされるエネルギー代謝調節に関わる中枢末梢相関の維持・破綻機構の解明を行うことを目的とし、APP-KIマウスの末梢と中枢とを合わせた双方からの統合的な解析を行った。前年度までに、カロリー制限を行った老齢のAPP-KIマウスの血液生化学的検査をもとにし、カロリー制限を行っていない老齢のAPP-KIマウスにおいて、末梢の臓器に障害があることを明らかにした。今年度は、老齢のAPP-KIマウスの一般行動や高次脳機能を評価するために行動薬理学的な解析を行った。その結果、高次脳機能や記憶の障害に加え、障害の認められた臓器に関わる行動の障害が認められた。また、老齢のAPP-KIマウスの血清において、代表的な炎症性マーカーの上昇が認められた。一方で、脳でのAβ蓄積が軽度に認められる月齢のAPP-KIマウスでは、これらの行動障害や血清での炎症性マーカーの上昇は認められなかった。以上の結果から、APP-KIマウスでは加齢による脳内でのAβ蓄積増加により短期記憶や高次脳機能が障害されるだけでなく、血清中の炎症性サイトカインの産生により末梢での臓器障害が引き起こされるものと考えられる。今後は、血清中の炎症性サイトカインに加えて、老齢のAPP-KIマウスの臓器障害の原因因子として考えられる、他の因子についても探索していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の目標は、(1)APP-KIマウスを用いた行動薬理学的評価を行い、中枢と末梢との連関について明らかにすること、(2)老齢のAPP-KIマウスの末梢臓器障害の原因因子の探索を行い、その因子を特定することであった。今年度は、所属の異動があり、研究環境の整備に時間がかかったため、研究の進行が遅れた。また、実験に使用するAPP-KIマウスを新たな所属機関に導入し繁殖するために時間を要している。 成果としては、(1)APP-KIマウスを用いた行動薬理学的評価をひととおり行い、中枢と末梢との連関について明らかにしたこと、(2)老齢のAPP-KIマウスの血清において、炎症性マーカーが上昇していることを見出したことなどが挙げられる。末梢臓器障害の他の原因因子についても今後探索していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた結果をもとにし、ELISA法やreal-time PCR、ウェスタンブロッティング法などを用いて末梢臓器障害の他の原因因子を探索していく予定である。原因因子が特定された場合、その因子とAβ蓄積の状況をもとに、APP-KIマウスの中枢末梢相関についてさらに詳細な解析を進めていく予定である。
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