研究課題/領域番号 |
22K17827
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
西岡 心大 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (80938522)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 回復期リハビリテーション / 低栄養診断 / 栄養アセスメント / 高齢者 / 低栄養 / 栄養評価 |
研究開始時の研究の概要 |
回復期リハビリテーション病棟では多くの患者に低栄養が認められ、日常生活動作の向上やや自宅復帰に悪影響を与えることが知られている。しかし、回復期の患者に対して低栄養を効率的に発見する方法が確立されておらず、低栄養を見逃したり誤って判断するリスクがある。そのため、回復期に特化した栄養評価法の確立は不可欠である。 本研究では回復期リハビリテーション患者の低栄養に関連する要因を先行文献から網羅的に検索し、これらの要因を基に新たな栄養評価ツールを開発し、その有効性を検証する。同時に、国際的な低栄養診断基準が回復期で適切に使用できるかについても検証する。
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研究実績の概要 |
令和4年度に実施した、回復期リハビリテーション期の患者における栄養評価法に関するスコーピングレビューにおいて、一般的な栄養評価法は身体障害を構成要素として含んでおり、低栄養を過剰診断するリスクがあること、栄養アセスメント法と低栄養診断基準の併存的妥当性がほとんど検証されていないこと、栄養アセスメント法の予測的妥当性研究が少ないこと、などの課題が明確化された。 これを踏まえ、令和5年度は国際的な低栄養診断基準であるGLIM基準の併存的・予測的妥当性の検証を目的とした研究を実施した。当初計画していた前向きコホートデザインは感染対策上実施が困難であったため、後ろ向きコホートデザインに変更した。対象者は2018年11月から2020年10月までに回復期リハビリテーション病棟を有する単一病院に新規入院した患者723名で、対象検査としてGLIM基準、参照基準としてSubjective Global Assessment(SGA)を用いた。GLIM基準は管理栄養士が測定し、SGAは熟練した別の管理栄養士が電子カルテ記録からGLIM基準の結果を見ずに評価した。結果として、GLIM基準のSGAに対する感度は77%、特異度は94%であり許容できる妥当性を示すこと、重症度のうち特に中等度低栄養の分別に関しての感度は低い(43%)こと、日常生活動作改善および非自宅復帰に関しての予測的妥当性は低いことが明らかとなった。本結果は論文として投稿準備中である。 このほか、昨年度実施したスコーピングレビューの内容を論文として公表した。またGLIM基準も含めた全国における栄養評価法の実態について解析し、現在論文投稿中である。さらに、また回復期リハビリテーション病棟における低栄養やサルコペニアの評価、対策についても各種学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたGLIM基準の併存的妥当性の検証が年度内に終了した。また、後ろ向きコホート研究へとデザインを変更したためアウトカム収集も終了した。結果については論文化を進め現在投稿準備中である。当初計画していた新規アセスメント法の指標抽出については、スコーピングレビューの結果により、栄養アセスメント法を開発するよりも既存の栄養評価法の有効性を明らかにし、実用性を高めることが重要だと考えられたため実施を見送った。以上より、研究計画は概ね順調に進行進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、GLIM基準の予測的妥当性を検証するための前向きコホート研究を実施しアウトカムを収集する予定であったが、予定を変更して後ろ向きコホートデザインとしたため、アウトカム収集は予定より早く終了した。またスコーピングレビューの結果により、栄養アセスメント法を開発するよりも既存の栄養評価法の有効性を明らかにし、実用性を高めることが重要だと考えられた。そのため、令和6年度は予定を変更し、GLIM基準に用いる栄養スクリーニング法や、筋量減少のサロゲートマーカーである下腿周囲長のカットオフ値の妥当性を主に検討する。これらにより現存のツールの有効性、実用性を検証し、令和7年度に実施予定の最適な栄養評価法の確立につなげる。
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