研究課題/領域番号 |
22K17834
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
平尾 卓也 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (80827759)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | がん代謝 / 分子標的治療薬 / β酸化 / 脂質制限 / ミトコンドリア / 脂質代謝 / 分子標的薬 / チロシンキナーゼ阻害薬 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、分子標的薬による糖代謝の抑制時に、白血病細胞が脂肪酸β酸化に生存を依存することを証明し、分子標的薬治療時における脂質制限補助療法の有用性を立証することにある。そこで、分子標的薬による白血病細胞の脂質代謝の亢進をin vitro実験で証明し、脂質制限による分子標的薬の抗腫瘍効果の向上をin vivo実験で立証することに挑戦する。本研究の根幹は、分子標的薬によるがん細胞のエネルギー代謝適応を新たな治療標的と捉え、分子標的薬治療下の栄養摂取状態の調節によって治療効果を最大限に発揮させる治療法の基盤を構築することにある。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、分子標的薬による糖代謝の抑制時に白血病細胞が脂肪酸β酸化に生存を依存することを証明し、分子標的薬治療時における脂質制限補助療法の有用性を立証することにある。今年度は、in vitroにおけるBCR-ABL陽性白血病細胞に対するチロシンキナーゼ阻害剤(TKIs)曝露時のエネルギー代謝状態(解糖系、ミトコンドリア、TCA回路及びβ酸化)及びそれら阻害剤の併用による抗腫瘍効果の増強を評価した。 エネルギー代謝状態においては、TKIsによる解糖系の低下及びミトコンドリア機能の亢進、TCA回路の亢進が確認された。脂質代謝に関しては、TKIs曝露時における白血病細胞内の脂肪滴の減少が観察された。また、脂質代謝や脂肪酸合成に関わるAcetyl-CoA Carboxylase(ACC)やPCG-1αなど各種酵素の変動やも確認された。各種エネルギー代謝機構の阻害実験では、①ミトコンドリア複合体Ⅱ及び②Ⅴ阻害剤、③α-ketoglutarate dehydrogenase(α-KDH)阻害剤、④isocitrate dehydrogenase(IDH)阻害剤、⑤carnitine palmitoyltransferase I/Ⅱ(CPT1/2)阻害剤、⑥部分的β酸化阻害剤など、TKIsにより亢進するエネルギー代謝機構の阻害剤との併用によって白血病細胞に対する抗腫瘍効果が増強することが明らかとなった。さらに、分子標的薬の効果を減弱する栄養素としての脂肪酸の重要性を証明するために脂質添加実験を試みたが、細胞培養液中の脂肪酸の有無でTKIsの効果は変わらなかった。 現在、TKIs曝露時における白血病細胞内への脂肪酸取り込み量及びβ酸化活性の評価に着手している。また、血液がんモデルマウスを用いて各種阻害剤とTKIsの併用実験、及び脂肪制限食によるTKIsの薬効評価を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、COVID-19感染症によって医療機関への応援やワクチン調製などの業務が負荷となり、目標とした成果まで届かなかった。また、COVID-19による共用試験(OSCE)実施計画の対応(8月-10月)も本研究エフォートの低下に少なからず影響が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、今年度行えなかった検討と並行して動物実験にも着手している。脂質制限実験に関してはin vitroで検証するよりもまず、動物実験での知見を集めることで研究の推進を図る。また、COVID-19感染症による県外移動制限も解消されることが期待されるので、研究協力機関と本課題を進めていく次第である。
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