研究課題/領域番号 |
22K17842
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
黒瀬 聖司 関西医科大学, 医学部, 講師 (80825951)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | マイオカイン / フォリスタチン / マイオスタチン / 身体活動 / 減量 / 骨格筋 / 肥満 / 身体活動量 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満者の減量中に骨格筋機能を維持、増加させることが重要だが、体脂肪量と共に骨格筋量や筋力が減少することが多い。本研究は肥満者の骨格筋機能の制御に関連するマイオカイン、特にイリシン、マイオスタチン、フォリスタチン、脳由来神経栄養因子(BDNF)に注目して、減量中の骨格筋量や筋力の変化とマイオカインの分泌動態を検証し、骨格筋機能の変化を早期に予測できる指標を抽出する。また、身体活動量や強度によるマイオカインの分泌動態および影響を検証することで、将来の動脈硬化やサルコペニア・フレイル予防を考慮した新たな減量プログラムおよび身体活動基準の構築に貢献できる可能性がある。
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研究実績の概要 |
当初の予定では、2022年度の結果をもとにマイオカインを四分位に分類して、減量プログラムによる変化を検証する予定であった。しかし、2022年度の研究結果(Endocr Res. 2023;48:120-128)から、マイオスタチン(MST)とフォリスタチン(FST)は体組成や身体活動による影響が大きく、まずは減量率による分泌動態の変化を検証する必要性が示唆された。よって、2023年度は減量率が3%未満のLow群、3-10%のMiddle群、10%以上のHigh群に分類して、MSTとFSTの変化と関連因子を検証した。 6ヵ月間の減量プログラムを完遂し、介入前後の主要評価項目の測定が可能であった126例を対象に分析した。その結果、Middle群とHigh群の体脂肪率は有意に減少し、除脂肪率と身体活動量は有意に増加した。MSTは3群ともに有意に増加し、FSTはMiddle群のみ有意に減少した。Low群のMSTの変化率はPeak VO2の変化率と負の相関を示した。また、Low群のFSTの変化率は減量プログラム中の座位時間と正の相関、Middle群のFSTは体脂肪量および体脂肪率の変化率と正の相関、High群のFSTは内臓脂肪面積の変化率と座位時間と負の相関を示した。 以上のことから、肥満者のMSTは減量率に関係なく、減量プログラム前後で有意に増加した。また、FSTは3-10%減量においてのみ有意に減少した。これらのマイオカインの変化は、減量中の体組成と代謝のフィードバックを受けながら、身体活動の状況に合わせて変動する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に分析した肥満者と高度肥満者の体組成とマイオカインの横断的な分析は完了し、学会発表ならびに論文発表できた(Endocr Res. 2023;48:120-128)。また、6ヵ月間の減量プログラムを完遂した肥満者を対象にして、減量率ごとのマイオカインの変化と関連因子の分析まで実施できた。この結果はすでに学会発表し、国際誌に論文投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
減量プログラムによるマイオカイン変動は分析でき、減量率によって身体活動の影響は異なることが明確になった。特にフォリスタチン、マイオスタチンの動態については分析できたが、減量に対する認知や行動変容、骨格筋機能にも影響する可能性がある脳神経由来栄養因子(BDNF)についても分析をしていく予定である。また、マイオカイン変動に対する身体活動のカットオフ値が決定可能か否かも検証する。
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