研究課題/領域番号 |
22K17845
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 智之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (10909774)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎 / ミトコンドリア / 体内時計 / 脂質代謝 / 肝臓 / 時間制限給餌 / 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) |
研究開始時の研究の概要 |
近年の時間栄養学研究の発展により、活動リズムに合致した摂食リズム(時間制限摂食)が、肥満や糖尿病などの様々な生活習慣病の発症を予防する可能性が明らかになってきたが、そのメカニズムはほとんど不明である。一方、ミトコンドリア膜透過性の異常亢進(MPT)は、薬剤性肝障害などの様々な肝障害の発症に関与していることが知られている。本研究では、時間制限摂食による脂質代謝改善効果の分子メカニズムを明らかにする目的で、食餌性の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルマウスにおける時間制限給餌が肝臓におけるMPTに与える影響を明らかにし、MPTをターゲットとした時間栄養学による新たな治療戦略を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究計画は、(1)時間制限給餌が肝臓のミトコンドリアに与える影響を明らかにするとともに、(2)非アルコール性脂肪肝炎(以下、NASH)に対する時間制限給餌の影響とそれに対するミトコンドリアの関与を明らかにすることを目的としている。 前年度は(1)肝ミトコンドリアの傷害感受性は摂食に応じた変動を示し、時間制限給餌による感受性の抑制は起きないこと、(2)食餌性のNASHモデルにおける脂肪肝・肝炎に対して、時間制限給餌の効果は限定的であることを見出した。 本年度は(1)の結果をふまえ、肝ミトコンドリアの傷害感受性に対する体内時計の寄与を明らかにするために、肝臓特異的に時計遺伝子Bmal1をノックアウトしたマウスを用いた検討を実施する予定だった。しかし、当該マウスの繁殖が計画よりも遅れ十分な個体数を得ることができなかったため、実験の実施に至らなかった。現在繁殖を続けており、個体数が揃いつつある。 また(2)の結果をふまえ、肝線維化に対する時間制限給餌の影響を調べる検討を実施した。マウスにNASH誘導食であるコリン欠乏高脂肪食を8週間摂餌させ、自由摂食群と活動期のみに摂食を制限した時間制限群を設けて病態の進行を比較した。その結果、白色脂肪組織の増量、肝細胞傷害は時間制限群で有意に低かったものの、脂肪肝・肝炎・肝線維化はいずれも時間制限による抑制は見られなかった。 以上の結果から、食餌性のNASHモデルにおいて、時間制限給餌は白色脂肪組織への脂質蓄積を抑制するのに対し、肝臓への影響は限定的であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝臓特異的Bmal1ノックアウトマウスの繁殖が当初の計画よりも遅れている。このため予定していた検討の一部が実施できていない。一方で、並行して行う計画であった時間制限給餌の検討は予定通り進めることができた。 上記ノックアウトマウスの繁殖は継続しており、2024年度の初頭には必要数が揃うめどがついていることから、全体としてこの評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に実施できなかった肝臓特異的Bmal1ノックアウトマウスを用いた検討を早急に実施する。ミトコンドリア障害感受性へのBmal1の関与については当初の計画通りに検討を実施するが、時間制限給餌の効果に対するBmal1の関与については、そもそも時間制限給餌がNASHの抑制に十分に働かなかったため、用いるモデルの変更などを検討する。
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