研究課題/領域番号 |
22K17851
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
中畑 裕 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50942067)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 多様性最大化 / 列挙 / 組合せ最適化 / 決定グラフ / ZDD |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では実世界の最適化問題に対し,多様な解を列挙する実用的なアルゴリズムを開発する.最適化問題では通常,アルゴリズムは単一の最適解を出力する.しかし実用上は,モデルに書ききれない曖昧な制約があり,最適解1つでは不十分なことがある.そこで多様な解を列挙できれば有用だが,多くの問題はNP困難であることが知られている.そこで本研究では,大規模な組合せ集合を圧縮して表現できる索引構造を用いて汎用的かつ実用的なアルゴリズムの開発を目指す.本研究の成果は理論と実用のギャップを埋めるという学術的意義に加え,Web検索,推薦システム,データベースといった幅広い分野での応用が期待される.
|
研究実績の概要 |
本年度は,昨年度考案したゼロサプレス型二分決定グラフ(ZDD)を用いた多様性最大化に対する近似手法についての研究を更に進めた.特に多様なパス列挙に注目しランダムサンプリング,貪欲法,局所探索法について計算機実験による比較を行った.その結果,多くのケースで(1)貪欲法と局所探索法はランダムサンプリングより多様性の高い解を列挙できることと,(2)貪欲法が局所探索法より高速に同等の多様性を持った解を列挙できることが明らかになった.従来理論的なアルゴリズムは,まずすべての解を列挙しておく必要があるという点がボトルネックとなり実験的評価が難しかった.しかし本研究のZDDを用いる手法により解を圧縮した状態で保持し,ZDD上で多様性最大化が行えるようになったことで実際に計算機で評価できるようになった.理論的には局所探索法の方が保証される近似比が良いにもかかわらず,実際には貪欲法で同等の多様性を持つ解を列挙できることは,今回初めて明らかになったことである.これらの成果について2024年1月の人工知能学会人工知能基本問題研究会で発表を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,昨年度考案したZDDを用いた多様性近似最大化アルゴリズムについて,計算機実験による評価をさらに進めることができた.その結果,理論的な評価とは異なり,貪欲法が局所探索法より高速に同等の多様性を持つ解を列挙できることが明らかとなった.これらの成果は提案手法により従来の多様性最大化アルゴリズムを計算機上で実現できるようになったことで得られたものである.そのため,研究はおおむね順調に進展しているといえる. なお,当初の研究計画としては近似手法と並行してZDDを用いた多様性最大化に対する厳密手法の検討も進める予定であったが,厳密手法については既に他の研究者から手法が提案されたため,本研究では近似手法の検討に集中することにした.
|
今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでに提案したZDDを用いた多様性最大化近似手法を,パス以外の対象(全域木やサイクルなど)にも拡げ,多角的な評価を行う予定である.また,ZDDを用いた既存手法である厳密手法との計算効率や得られた解の多様性指標の比較についても今後検討したい.また,これまで扱ってきたmax-sum多様性だけでなくmax-min多様性への拡張を検討する.得られた成果について,国際会議や査読付き英文論文誌への投稿,発表を目指す.
|