研究課題/領域番号 |
22K17868
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷本 輝夫 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (60826353)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 量子コンピュータ・システム・アーキテクチャ / 命令実行 / 量子コンピュータ / 命令デコード |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,量子プロセッサの量子ビットが今後増加することを見据えた量子ビットの制御に必要な古典デジタル処理回路の設計空間探索を行うことを目的とする.プログラマブルな量子コンピュータを実現するためには,プログラム(量子回路)を実行時にデコード,スケジューリングする必要がある.要求される命令発行スループットは量子ビット数に応じて増加する.そのため,今後搭載量子ビット数が増加すると古典処理が量子ゲート操作のスループットを律速しかねない.そこで,量子,古典それぞれの基本アーキテクチャを定義した上で古典処理の性能および電力モデリングに基づき設計空間探索を行う.
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研究実績の概要 |
量子コンピュータは従来の計算機では効率よく解けない問題を解く方法として注目されている.中でも,誤り耐性量子コンピュータは,超伝導量子ビットの高集積性は,その実現可能性に大きく貢献すると考えられている.本研究では,量子プロセッサの量子ビットが今後増加することを見据えた量子ビットの制御に必要な古典デジタル処理回路の設計空間探索を行うことを目的とする.プログラマブルな量子コンピュータを実現するためには,プログラム(量子回路)を実行時にデコード,スケジューリングする必要がある.要求される命令発行スループットは量子ビット数に応じて増加する.そのため,今後搭載量子ビット数が増加すると古典処理が量子ゲート操作のスループットを律速しかねない.超伝導量子ビットは極低温環境で動作するため,同じく極低温環境で動作する単一磁束量子 (SFQ)の制御回路への利用がこの問題の解決に有用であると考えられる.そこで,量子,古典それぞれの基本アーキテクチャを定義した上で古典処理の性能および電力モデリングに基づき設計空間探索を行う.さらに,具体的なアルゴリズムを対象としたケーススタディを行う.今年度は,誤り耐性量子コンピュータの論理的な命令列を構成する命令セット及びその命令セットの量子ビットプレーン上での実行について方式検討を行った.また、表面符号における格子手術を効率よく実行するための量子ビットプレーン・アーキテクチャの検討も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
誤り耐性量子計算機においては、複数の物理ビットから論理量子ビットを構成し、シンドローム測定によって誤り訂正しながら計算を進める。この際、最終的に物理ビットに対して行われる操作は、論理ビットを対象とした命令列に依存する。したがって、物理ビットへの操作を具体的に検討する際には、論理量子ビットへの操作の体系、すなわち論理的な命令セットアーキテクチャと、その論理的な命令のスケジューリング方法を決める必要がある。これは、従来コンピュータのプロセッサでも共通して重要な点であるが、量子コンピュータにおいては標準的に使われる命令セットがいまだ確立していないという課題がある。そこで、既存研究を参考に、格子手術を論理命令数nに対してO(n)時間で実行可能かつ複雑なスケジューリングを必要としない方法を参考に基本アーキテクチャに組み込んだ。しかしながら、この方法は複数の命令を並列に実行できない問題があるため、より細粒度な命令スケジューリングを行うことを前提に、格子手術を効率よく実行するための量子ビットプレーン・アーキテクチャについて検討を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の調査検討結果を活用して詳細な設計を進めていく.デコードに必要な処理の複雑さや,処理が持つ依存関係に着目し,それぞれの処理をどの温度ステー ジで実行するのが望ましいのかをモデルベースで議論し,その温度ステージに適したデジタル回路技術で実装することを検討する.
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