研究課題/領域番号 |
22K17889
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60070:情報セキュリティ関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池松 泰彦 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (40833570)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 多変数多項式暗号 / グレブナー基底 / 耐量子計算機暗号 / 暗号理論 |
研究開始時の研究の概要 |
量子計算機を用いた攻撃に耐性のある暗号(耐量子計算機暗号:PQC)の研究開発は、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)が現在進めているPQC標準化計画によって一気に加速した。PQCでは、多変数多項式写像を使った暗号(MPKC)が、高速な処理性能や短い署名長などから、有力な候補として活発に研究されている。しかし、既存MPKC方式に対する多変数連立方程式求解問題(MP問題)への安全性帰着証明や、実際に帰着できるような方式の開発は未解決問題となっている。本研究では、この問題に取り組む。
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研究実績の概要 |
まず、2022年度に得た次の研究結果(i),(ii)を論文としてまとめた: (i)多変数署名方式MAYO, QR-UOVへのRectangular MinRank攻撃の適用とその計算量評価について、(ii)UOV多項式に付随するHilbert級数の研究について。(i)については国際会議IWSEC2023に採録され、(ii)は電子情報通信学会が発行する「暗号と情報セキュリティ小特集」に採録された。その後、(i)についてはRectangular MinRank攻撃の精密な計算量評価が未解決として残っていたが、特定のパラメータ条件においていくつかの代数的仮定をおくことでその計算量を理論的に導出し、実験によって実際の計算量と一致することを確認した。また、NISTのPQC署名方式の追加公募に投稿されている署名方式VOXに対するRectangular MinRank攻撃の解析を行い、VOXが提案したパラメータセットが安全でないことを証明した。またこの攻撃によって、128ビット安全な提案パラメータが3時間以内で解読できることを実験で確認した。VOXに関するこの結果は上記(i)の結果と合わせて論文化し、ジャーナル論文へ投稿中である。さらに、この結果をNISTが行う第5回 NIST PQC Standardization Conferenceに投稿し、2024年4月にアメリカにて発表することが決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
執筆した論文も採録され、上記のように今年度も新たな成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
全てのパラメータにおけるRectangular MinRank攻撃の精密な計算量評価の導出を行う。また、UOVのHilbert級数を利用した高速なグレブナー基底計算または求解アルゴリズムについて研究する。
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