研究課題/領域番号 |
22K17956
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
森岡 博史 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (20739552)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 機械学習 / 因果探索 / 非線形解析 / 深層学習 / 計算神経科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,未だ多くの謎に包まれている脳の情報処理機構に対し,その根幹をなすとされる未知の脳内情報伝播・統合メカニズムの解明を通して挑むものである.脳の高度な情報処理は神経集団の領野間での情報伝播・統合によって実現されると考えられ,その未知のメカニズムは脳活動計測データからのモデル化・推定によって初めて理解可能となる.本研究では,そのような脳内の情報伝搬・統合機構を非線形ネットワーク因果構造としてモデル化し観測データから推定する新たな機械学習手法を開発することにより,脳の情報処理機構に対する新たな知見の獲得を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究は脳の高度情報処理機構の基盤をなす未知の脳内情報伝搬・統合メカニズムの解明を目的とし,そのために機械学習に基づく新たな非線形ネットワーク因果構造推定法を開発することで挑戦するものである. 本年度は主に,研究実施計画における「データの背後にある無向ネットワーク構造の推定法の研究」を目指し,そのための要素技術となる,多次元因果構造の推定法の開発に従事した.提案法は各ノードが多次元な観測情報を持つネットワークデータを想定したものであり,特に変数間に未知の混合が加わっている際に,それをデータ駆動的に脱混合することにより,その背後にある本来の多次元因果構造の推定を可能とするものである.そのように非線形混合の存在を陽に考慮することにより,従来では困難だった多次元センサネットワークからの因果探索が可能になる.また,新たな推定法として自己教師学習に基づくものを提案しており,従来法よりも効率的に学習可能である.提案法の有効性を示すため,人工的に生成した遺伝子制御ネットワークデータに適用した結果,従来法よりも高い精度で背後にある因果構造が推定できることが示された.これらの結果は複数モダリティにより計測された脳計測データを解析する上でも重要な要素であり,本研究を遂行する上で重要な足がかりとなる.なお,提案法は脳計測データのみでなく様々な多次元ネットワークデータに適用可能であり,幅広い応用が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主に,研究実施計画における「データの背後にある無向ネットワーク構造の推定法の研究」を目指し,そのための要素技術となる,多次元因果構造の推定法の開発に従事した.提案法により,複数モダリティにより計測されたヒト脳活動計測データから,脳領野間の機能的因果構造を推定可能になることが期待される.ここで得られた成果は査読付き国際会議にて発表した.以上を総合して,ヒトの脳内情報伝搬・統合メカニズムの解明に向けた研究を順調に進められたと考える.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は引き続き「データの背後にある無向ネットワーク構造の推定法の研究」に従事するのに加え,次の段階である「非線形ネットワーク因果構造の推定法の研究」を進める.本年度で提案した手法は観測モデルや因果効果の空間的一様性を仮定することでデータの背後にある多次元因果構造を推定するものであるが,実際の脳内においてはそれらの領野間での違い(非定常性)が想定される.そのため次年度では,そのような領野間の違いを考慮した上で脳内の非線形因果構造を推定する手法を提案し,ヒト脳内の情報伝搬・統合機構を統合的に理解することを目指す.また,提案法は実際にヒト脳活動計測データに適用することで評価を目指す.
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