研究課題/領域番号 |
22K17959
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
山縣 友紀 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 研究員 (00543927)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | オントロジー / COVID-19 / 知識統合 / リスク低減 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)では膨大な知識が得られつつある.しかし,対象領域は多岐にわたるため,専門知識の相互運用は困難なものとなっている.そこで本研究ではCOVID-19感染機序の全体像の把握を目指し,感染プロセスに関わる多種多様な知識についてオントロジー技術を用いた知識統合を目指す. まず,統合の骨格となる参照オントロジーの開発に取り組むとともに,複数のオントロジーについて概念レベル毎の統合可能性について検討する.さらに統合情報をもとに,診断,あるいは重症化予防など目的に応じた情報を提供し,重症化リスク低減支援のための応用システム開発を行う.
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は,COVID-19感染プロセスに関わる多種多様な知識についてオン トロジー技術を用いて計算機処理可能な形式で知識を統合することで重症化リスクの低減を目指すことである. 本年度は, COVID-19感染機序について,初年度に開発した感染プロセスの因果関係による統一記述枠組みのモデルを用い,ウイルス吸着から臨床症状発現に至るまで多様な情報を生体プロセスの因果関係を軸として,関連知識を統合・写像する技術を開発した.その結果,文献毎に断片化されていた知識の横断が可能となり,重症化機序では感染から炎症,サイトカイン放出を介して,血液凝固促進,血栓形成促進に至る生体プロセス間の因果関係の一連の流れが統合化されるとともに,関連分子についての情報も得ることが可能であることを確認した. さらに,ホメオスタシスインバランスオントロジー(HoIP)に格納した情報である感染における個々のプロセスについて,部分プロセスやパスウェイの他,分子や症状など多様な関係性に基づいて,SPAQLクエリを介して感染機序の上流(原因)から下流(結果)に至る知識を動的に探索する機能を有するとともに,軽症から重症化まで,症状に応じた機序における複数パス探索機能を提供することで,感染機序への深い理解を支援可能なナビゲーションシステム開発のプロトタイプを開発し,公開した.感染後にも症状が残存するLong COVIDも問題となっているが,細胞老化との影響について汎用機序とオントロジー情報をあわせて提供できることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はCOVID-19感染機序について感染プロセスの因果関係による統一記述枠組みを用い,ウイルス吸着から不顕性,さらに軽症から重症化まで多様な統合情報を写像する技術を開発した.オントロジーをベースとした知識ナビゲーターLeavesのプロトタイプを開発し,COVID-19感染機序を可視化するとともに,複数のパス探索やプロセスについてのオントロジー情報を探索可能とする機能をウェブ上で公開したことから,「おおむね順調に進展している」と評価した.
|
今後の研究の推進方策 |
近年大規模言語モデル(Large Language Model(LLM)による多様な領域への貢献が目覚ましい.最終年度は,これまで記述した感染機序データに加え,LLMのオントロジー情報拡張への適用可能性について検討するとともに,LLMを用いたオントロジー写像に必要な要素技術を考察する.さらに,ナビゲーションシステムについては引き続き開発を進め,最終版として完成度を高める.
|