研究課題/領域番号 |
22K17970
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
伊藤 佳卓 北海道科学大学, 工学部, 講師 (90849142)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 分岐図推定 / レジームシフト / 系列モデリング / パラメータ空間推定 / ニューラルネットワーク / 時系列モデリング |
研究開始時の研究の概要 |
近年,人間活動の影響により絶滅危機に瀕している動植物が増え続け生物多様性の崩壊が危惧され,環境生態学分野において大きな課題とされている.動植物が絶滅に瀕するとき,個体数は増減の少ない「安定」状態から外部要因(パラメータ)が徐々に変化することにより「絶滅危機」状態へ突如激減する特徴的な現象(レジームシフト)が起こる. 本研究は,生態の動的システムの時系列を予測するモデリング手法を確立する.パラメータが変化する動的システムをモデリングするために分岐図推定を応用し「安定」状態の時系列のみからレジームシフトが「いつ」起こるかを予測する.
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研究実績の概要 |
本研究は,生態系の動的システムの時系列を予測するための新しいモデリング手法の確立を目指している.具体的には,パラメータが変化する動的システムをモデリングするための分岐図推定を応用し「安定」状態の時系列のみからレジームシフトが 「いつ」起こるかを予測することを試みる.本モデリング手法を実環境に応用可能な形で確立するため,多次元システムへの適用,強いノイズに対するロバスト性,アナログデータを計測したデータへの適用という課題を設定している. 本年度は,本モデリング手法のノイズに対するロバスト性の検証に焦点を当て,本研究に使用している学習アルゴリズムであるリッジ回帰の正則化項の調整とノイズレベルの変化がレジームシフト予測の成功率に与える影響を検証した.その結果,予測の信頼性を判断するための新たな指標として,学習した結合荷重の大きさが有効であることを明らかにした.また,多次元システムへの適用についても検証し,前年度は2次元の数理モデルを扱ったが,本年度は5次元の数理モデルに対してレジームシフト予測を行い,予測が可能であることを明らかにした.さらに,「アナログデータを計測したデータへの適用」に向けてレジームシフトが起こる数理モデルを再現する電子回路の設計とシミュレーションを実施した.回路シミュレータにより設計した回路が数理モデルと同様のレジームシフトを発生することを確認した.そして,回路シミュレータから取得したデータを用いたレジームシフト予測も既に行っており,次年度は実際の回路を作製し,その回路から計測したデータを用いたレジームシフトの予測を試みる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では計画通り,強いノイズ環境下でのモデリング手法のロバスト性を検証した.この検証により,予測成功率や結合荷重の大きさとの間に明確な関係性を示すことができた.これはモデルの予測能力を評価する重要な指標となる.さらに,アナログデータへの適用に向けて対象の数理モデルを再現する電子回路の設計を行なった.この回路を用いたシミュレータから取得したデータに基づくレジームシフト予測の結果は国際会議で発表予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では,設計した回路図に基づき電子回路を作製し,この回路から様々な条件のデータを計測する.さらに,これまでの研究で使用していた非振動型の数理モデルに加え,新たに振動するモデルを考案し,このモデルに対しても電子回路を作製する.そして,これらの電子回路から計測したデータを使用してレジームシフトの予測を試みる.これらの予測により、異なるタイプのダイナミクスを持つ力学系に対して本モデリング手法の適用範囲を広げることができる.これらにより,分岐図推定を基にしたレジームシフト予測が実環境でのデータにも効果的に使用できることを検証する.
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