研究課題/領域番号 |
22K17977
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61050:知能ロボティクス関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川田 恵 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 特任助教(常勤) (30914212)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 吹き出し表現 / 被傾聴感 / 被注視感 / 小学校 / 実証実験 / 遠隔操作型ロボット / 複数人オペレータ / ロボットの受容過程 / 小学生 / 遠隔操作ロボット / 統合失調症 / デイケア / 自律対話ロボット / ロボット / コミュニケーションロボット / ヒューマンインタラクション |
研究開始時の研究の概要 |
日本人の多くは自己表現を苦手である. そこで, 他者視点から自己のコミュニケーション方法について不足している点を認知することで, 行動改善を行うことが可能となる. この研究計画では, 他者視点を獲得し, 的確な自己表現のための行動変容を行うことを目的とし, ユーザに不快感を与えずにコミュニケーション方法における苦言を提示する他者視点ロボットを開発する. ロボットが苦言を提示することで, ユーザに, 指摘に対する納得感と見られているという存在感を与え, ロボットがいない状況においても, 苦言ロボットの視点を意識したコミュニケーションを取ることが可能となり, 他者視点の獲得が期待される.
|
研究実績の概要 |
今年度は、ユーザに不快感を与えない対話の表現方法や対話戦略について研究を行った。その一環として、リモート会議における吹き出しの効果に焦点を当てた研究を実施し、その成果を国際会議で発表した。この研究は、現在のウェブ会議システムにおいて、プライバシーへの配慮からカメラをオフにする参加者が多く、通常はアイコンのみを表示することが好まれる。しかし、この方法では非言語情報が欠如してしまい、参加者間で誤解が生じたり、無視されているような不快感が生じたりする可能性がある。そこで我々は、カメラオフの状態で吹き出しに焦点語を表示する実験を行った。焦点語は対話中に特に強調したい言葉やフレーズを指し、吹き出しの中に表示されることで、相手に意図を伝えやすくすることが期待される。実験の結果、焦点語の表示自体には効果が見られなかったものの、吹き出しの存在によって対話相手の顔の情報が一切ない状態でも「被傾聴感」や「被注視感」が向上する可能性が示唆された。この成果は、リモート会議において参加者がより快適にコミュニケーションを取れるようにするための新たな方法を示した。 また、ユーザに不快感を与えない対話戦略に関する研究も実施した。長期的なロボット導入するため、複数のオペレータが交代でロボットを操作することが考えられる。しかし、遠隔操作者が切り替わるロボットに対して子供たちが不信感を抱くなどの問題が考えられる。そこで我々は、小学校5年生のクラスに遠隔操作型対話ロボット「SOTA」を2週間設置し、子供たちがロボットにどのような影響を与えるのかについて実証実験を行った。その結果、ロボットの存在によって子供たちが発表しやすい環境になり、子供たちの社会性が向上する可能性が示唆された。また、複数のオペレータが交代で操作していることに対する大きな不信感は見られなかった。この研究成果については現在、学術雑誌に投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、ユーザに不快感を与えない対話の表現方法や対話戦略の確立という目標を設定し、吹き出しを用いたリモート会議の実験室実験や、小学校やデイケアでの実証実験を通じて国際学会、国内学会で発表している。また、ロボットの教室への導入についての研究成果をまとめ、学術雑誌に投稿中である。
|
今後の研究の推進方策 |
ユーザに不快感を与えずにコミュニケーション方法における苦言を提示する他者視点ロボットを開発することを目指し, まず, 申請者は, 不快感与えない表現方法や対話戦略を明らかにした. 次のステップでは, ユーザに不快感を与えずに苦言を提示するための対話システムをロボットに実装することを目指す.
|