研究課題/領域番号 |
22K17999
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
西田 暁史 東京農業大学, 生命科学部, 助教 (40824579)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | メタゲノム / 無細胞タンパク質合成系 / 機械学習 / フィターゼ / 根圏土壌 / 微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
農業従事者と協力し、火山灰土壌(日本の代表的な農業土壌)の農作物根圏微生物ゲノムデータをメタゲノムによって収集・構築し、無細胞タンパク質合成系や機械学習を用いて有用遺伝子を探索する一連のメソッドを確立する。そして、市民参加型で日本の土壌微生物ゲノム情報資源をマイニングするための基盤を形成する。 日本の土壌研究は研究施設の圃場を中心に行われているが、本研究では農家と協力し研究基盤を形成する。また最近のゲノム情報の大幅拡充により、遺伝子を大規模テストするフェーズがやってきている。そのため遺伝子のハイスループットテスト技術として、無細胞タンパク質合成系や機械学習モデルを用いたメソッドを確立する。
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研究実績の概要 |
本課題ではまず日本の農業土壌を採取し、微生物DNAを抽出し、メタゲノム解析することで有用遺伝子を収集する。次いで有用遺伝子の1つとしてフィチン酸を分解し土壌に蓄積したリンを植物が利用できるかたちに溶解するフィターゼに着目し、多様な微生物のフィターゼ遺伝子を活性評価する。さらに多様な微生物のフィターゼ遺伝子を生成モデルによって特徴抽出し、活性のある塩基配列を解析するとともに、低pHでの機能活性など特性が付加されたフィターゼ遺伝子を生成する計画である。 土壌の採取とメタゲノム解析に関しては、東京工業大学すずかけ台キャンパスで新規開拓された農場の土壌、その隣接土の土壌、同キャンパス内の里山の南西側斜面の土壌、恵泉女学園大学の有機農場の土壌を採取し、DNA抽出とショットガンメタゲノムシーケンシングを行った。このシーケンシングデータをもとにMetagenome assembled genomeを構築し、多様な遺伝子のデータを得た。 多様な微生物のフィターゼ遺伝子の活性評価に関しては、遺伝子の大規模テストを見据えて、遺伝子組換えと培養時間を省略できるハイスループット評価系である無細胞タンパク質合成系を用いる。大腸菌BL21株やPseudomonas putida KT2440株由来の細胞抽出液を用いた無細胞タンパク質合成系を作製し、遺伝子発現することに成功した。 機械学習による遺伝子配列の改変については、まずは塩基配列から特徴を抽出する手法を構築することを目指し、全ゲノム配列配列情報を圧縮して微生物種を推定する機械学習モデルを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多様な微生物のフィターゼ遺伝子を生成モデルによって特徴抽出し、特性が付加されたフィターゼ遺伝子を生成する計画であったが、ゲノム情報を機械学習によって特徴抽出する手法の開発に注力しているため、当初の計画通りにはいっていない。
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今後の研究の推進方策 |
生成モデルによりフィターゼに付与する特性を検討するにあたり、各フィターゼ遺伝子の情報が採取された地点の環境データを解析する予定である。そしてデータベースからmetagenome-assembled genomeを介して様々な細菌由来のフィターゼ遺伝子配列を取得し、生成モデルであるVariational Autoencoderに学習させ、その特徴を解析することで低pHでの機能性などフィターゼ遺伝子データセットに特徴的な特性を付加する予定である。また、フィターゼの改変により土壌のリン汚染の軽減を試み、その結果海洋の赤潮プランクトンの発生を抑制することが将来展望としてあるが、その赤潮プランクトン(Karenia mikimotoi、Heterocapsa circularisquama)のゲノム解析も行う。
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