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深層学習による心房細動の発生予測に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K18001
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

野中 尚輝  国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 研究員 (90831892)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
キーワード心電図 / 深層学習 / 心房細動 / 発生予測
研究開始時の研究の概要

本研究では深層学習により心房細動の発生を予測できるか,という問いに取り組む.心房細動は心房内に流れる電気信号の乱れにより生じる不整脈の一種である.心臓の電気的活動は,心電図により観測でき,心電図を機械的に評価する手法が開発されている.申請者らは,深層学習を用いた心電図の分類に関する研究を行なってきた.一方,動画や音楽の研究では,入力に将来発生する事象の予兆が含まれる場合,深層学習による将来の予測が可能なことが示されている.そこで本研究では,申請者が培ってきた心電図を扱う深層学習の手法に基づいて,心電図から心房細動の発生の予兆となる特徴量を抽出し,その発生を予測することが可能か検証する.

研究実績の概要

本研究は、計測された心電図から一定時間後に心房細動が発生するかを深層学習により予測する手法を開発することを目的としており、令和5年度は研究実施計画および昨年度の研究の推進方策に従って研究を進めた。
実施した具体的な内容としては、まず令和5年度に確立した手法の中で用いられる擬似ラベルが専門家の評価と一致するかの確認を行った。公開データセット(MIMIC-III)に含まれる心電図データからランダムに抽出したデータの評価を3名の専門医に依頼し、3名の評価と擬似ラベルとの間の一致の度合いを確認した。その結果、専門医3名の評価が一致した421件のデータのうち、417件で付与した擬似ラベルと専門家の評価が一致することを確認した。
次に、心電図を扱う上で最適なモデルの検討を行った。先行研究にて心電図の分類で高い性能を示すことが報告されているResNet-18モデルに加えて、自然言語処理や画像分類の領域で高い性能を示すTransformerモデルおよびTransformerモデルを時系列データを扱うために改良したモデル、Recurrent Neural Networkを比較対象として実験を行った。
本研究課題の目的である心房細動の発生を予測する深層学習モデルの開発において、学習に用いる大規模なデータセットの構築と心房細動かの判定を行うのに適したモデルの特定は重要である。本年度の成果により、データの信頼性の確認および最適なモデルの特定ができ、心房細動の発生を予測するモデルの精度を向上できることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和5年度の進捗状況は以下のとおりである。擬似ラベルの付与を行ったデータの一部を専門家に評価してもらい、専門家の評価と擬似ラベルとの一致度合いを確認した。擬似ラベルを付与した心電図データからランダムに500件の心電図を抽出し、3名の専門家にそれぞれ独立に500件の心電図の評価を依頼した。その結果、全体の84.2%に当たる421件で3名の専門家の評価が一致していた。この421件について、専門家の評価と令和4年度に開発した擬似ラベル付与システムにより付与された擬似ラベルが一致するかを確認した結果、99.0%に当たる417件で評価が一致した。この作業を通じて、擬似ラベルの信頼性を検証することができた。また、心房細動の判定に適した深層学習モデルを特定するため、Convolutional Neural Network, Transformer, Recurrent Neural Networkおよびその派生モデル対象として実験を行った。各モデルの性能を比較評価し、最適なモデル構造を見出すことができた。これらの取り組みにより、心房細動の予測システムの構築の精度を向上できると考えられる。今後は、専門家の知見を取り入れながら擬似ラベルの質を高め、さらに高精度な深層学習モデルを開発することで、より信頼性の高いシステムの実現を目指す。

今後の研究の推進方策

来年度は、以下の課題を中心として検討を行いたいと考えている。
近年、自然言語処理や画像処理の分野において、自己教師あり学習により事前学習を行ったのち、目的のタスクでファインチューニングすることで、事前学習を行わない場合よりも高い性能を示すモデルが得られることが知られている。心房細動の発生を予測する場合にも、心電図を入力とし自己教師あり学習により事前学習を行ったモデルが性能向上に寄与するかを検討する。
また、患者の性別や年齢、人種といったデモグラフィック情報によって性能に変化がないかを検証する。公開データであるMIMIC-IIIデータセット、PTBXLデータセット、CPSC2018データセットには、計測された心電図に加えて、患者の年齢および性別の情報が含まれている。これらの情報を用いて年齢や性別の条件により予測精度に違いがないかを確認し、また必要に応じてその違いを低減する手法の開発を行うことを考えている。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 産業財産権 (1件)

  • [産業財産権] 予測装置、予測方法及びプログラム2022

    • 発明者名
      清田純、野中尚輝、平松祐司、坂本裕昭
    • 権利者名
      清田純、野中尚輝、平松祐司、坂本裕昭
    • 産業財産権種類
      特許
    • 出願年月日
      2022
    • 取得年月日
      2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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