研究課題/領域番号 |
22K18013
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
浦山 康洋 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 講師 (80805143)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 情報通信ネットワーク / AR(拡張現実) / パケットキャプチャ / 教材開発 / AR(Augmented Reality) / ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
2022年度から高等学校で適用される新しい学習指導要領では、すべての高校生がネットワーク分野の基礎的な知識・技能を身につけることが求められる。しかし、当該分野の学習内容は複雑であり、情報工学を得意とする学生であったとしても理解は容易でない。 そこで本研究では、当該分野にはじめて触れる学習者がネットワーク通信を直感的に理解できるような仕組みを確立することを目的とし、通信の可視化に重点を置いた学習教材を開発する。具体的には、ネットワーク内に流れている通信パケットをAR技術によって可視化する。本教材を用いて実験演習型の授業を実践し、本教材が学習者の理解度向上にどのような影響を与えるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和4年度より施行された新しい高等学校学習指導要領では、『情報Ⅰ』と『情報Ⅱ』が必修科目として新設された。情報Ⅰの学習内容には、小規模なネットワークの設計活動を通じて情報通信ネットワークの仕組みや構成要素について理解すること、が含まれる。しかしながら、情報通信ネットワーク分野の学習は非常に複雑であり、たとえ情報工学を得意とする学生であったとしてもその理解は容易ではない。当該分野の学習が難しいとされる大きな要因の一つとして、ネットワークでの通信が目に見えない点が挙げられる。つまり、仮に学習者が通信中のネットワークを観測したとしても、その目にはPCやネットワーク機器のランプが点滅しているだけにしか見えず、通信全体のイメージが湧きづらいのである。そこで、本研究ではネットワークの初学者へ通信の直感的なイメージを提供することを目的とし、ネットワーク上で行われている通信の内容をAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を用いてリアルタイムで可視化するシステムを開発する。 初年度は主に上述の可視化システムの設計と開発を行った。本システムはパケット解析装置とARアプリケーションの2つで構成される。はじめに、パケット解析装置がネットワーク内で発生した通信パケットを観測し、当該パケットの送信元、宛先、通信の種類、を取得する。次に、解析装置は取得した情報をARアプリへ送信する。それから、ARアプリは受信した情報をもとにパケットを模した3DオブジェクトをAR空間上に生成し、本オブジェクトを送信元から宛先までネットワークに沿いながら移動させる。以上のように、本可視化システムを用いることで学習者は情報通信ネットワーク内でのやり取りを視覚的に観測することが可能となり、当該分野に対する理解度の向上が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実施計画に沿って、ネットワーク通信の内容をリアルタイムで可視化するシステムの開発に注力し、当該システムの動作確認までを完了させた。本システムは主にパケット解析装置とARアプリケーションの2つで構成される。パケット解析装置はC言語で、ARアプリはUnity(C#)でそれぞれ独立させて開発を進めた。2台のネットワークスイッチと4台のPCで構成される小さなネットワーク上で動作実験を行い、開発システムが想定通りに動作することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
開発したシステムの学習教材としてのパッケージ化を進める。その後、現役の学生を対象に実験演習型の授業を行い、提案システムの学習教材としての実用性を検証する。それから、提案システムのさらなる改良も行う。現在、本システムでは代表的な9種類のプロトコル(通信)を可視化できるが、観測できるプロトコル数の増加を図る。また、本システムのARアプリはAndroid OSを対象として開発を進めてきた。今後はiOSやWebARへの実装など、マルチプラットフォームに対応させシステムの利便性の向上を図る。
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