研究課題/領域番号 |
22K18018
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
増永 英治 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 講師 (90779696)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 沿岸海域 / 潮汐 / 内部潮汐 / 乱流混合 / 栄養塩 / 南カリフォルニア / 沿岸海洋 / 海洋観測 / 数値モデル / 河川水 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,沿岸域における海洋観測と陸域・沿岸域・海洋を解像するマルチプラットフォーム統合解析モデルから,陸域から海洋への物質輸送が及ぼす海洋物質循環への影響を解明する.海洋観測では,乱流微細構造観測装置や最新の曳航型の観測装置を用い,河口から沿岸海域における物質輸送過程を直接計測する.統合解析モデルは,河川水モデル,沿岸海域高解像度モデルと 大領域海洋モデルの3領域を解像する解析モデルを統合させ運用をする.特に研究が発展途上にある河口における物質輸送動態や非線形性内部潮汐による輸送現象に着目し研究を推進する.
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研究実績の概要 |
研究2年目の本年度(2023年度)は,申請書で計画した通り日本沿岸海域特に利根川からの河川水供給や黒潮の影響を調査するために,利根川河口から沖合における海域で海洋調査を実施した.また1年目から引き続き南カリフォルニア沿岸海域を解像する数値モデルや観測データを用いて,内部潮汐によって発生する混合現象や物質輸送動態についての調査も継続的に実施した.南カリフォルニア沿岸における数値計算を用いた内部潮汐の動態に関する研究では,観測された海洋構造を数値モデル内に精度よく再現する技術を開発し,観測では得られることのできなかった内部潮汐の発生,伝播から散逸までの過程を網羅的に明らかにすることができた.この南カリフォルニアにおける内部潮汐についての成果はアメリカ気象学会が発行するJournal of Physical Oceanographyに学術論文として成果が掲載されている(Masunaga et al., 2023).利根川河口における調査から河川水起源の低塩分水が外洋水と混合する詳細な様子を観測することに成功した.また,物理構造に加えて栄養塩の観測結果から河川から海洋に供給される栄養塩量を定量化することに成功した.人工衛星の計測データや領域海洋モデルを用いた解析結果らは,栄養塩の供給は河川のだけではなく海洋底層から供給される過程も非常に重要であることが明らかとなった.この海洋底層からの栄養塩供給は,夏季に日本沿岸に卓越して吹く南西季節風(偏西風)によって発生する沿岸湧昇が要因で発生することがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究初年度に開始した南カリフォルニアにおける沿岸海域の内部潮汐に関わる成果について国際学術誌に掲載され研究成果が蓄積し順調に発信することができている.また申請書で提案したとおり利根川河口付近における調査を開始することができている.また,領域海洋モデルについては,生態系パラメータを組み込んだモデルを日本周辺海域へ適応させ運用と出力結果の解析をする段階まで進捗した.よって計画した内容は順調に進捗しており,次年度以降も調査や数値モデルの成果を蓄積し沿岸海域の物質輸送動態をさらに調査する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2024年度)は,,南カリフォルニアと利根川沖で取得した海洋観測データや数値モデルの結果を引き続き解析・検証するとともに,数値解析を用いた解析も並行して実施する.2023年度から開始した利根川河口周辺海域の調査をさらに拡張し,より広範囲の河川水と栄養塩の輸送拡散動態を調査する.海洋への直接的な栄養塩添加と考えられている河川水の他に,海岸から滲み出る栄養塩の過程や沿岸湧昇により底層から供給される栄養塩輸送にも着目した調査を実施する.次年度の調査については,他協力機関と連携し調査船利用の調整や,調査の許可関係の手続きを既に進めている.
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