研究課題/領域番号 |
22K18019
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 筑波大学 (2023) 東京大学 (2022) |
研究代表者 |
沼舘 直樹 筑波大学, 数理物質系, 助教 (20850100)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 大気化学 / 液体ノナン酸 / 界面 / 光分解 / レーザー誘起蛍光 / 吸収断面積 / 不純物 / ノナン酸 / 光化学反応断面積 / 紫外吸収分光 / 気液界面 / 光化学反応 / 脱離生成物 / レーザー誘起蛍光法 / 光反応断面積 / 液体有機物 / 光反応 |
研究開始時の研究の概要 |
空気と界面活性な有機分子の気液界面における化学反応は地球の気候変動を理解する上で重要な要素である。近年、太陽紫外線を吸収しないと考えられてきた有機物が、エアロゾルなどの気液界面に存在する場合には光反応を起こす可能性が示唆された。本研究ではレーザー誘起蛍光法を用いて、液体有機物(ノナン酸) の界面における光反応、特にOHラジカル生成過程の定量測定法を確立することを目的とする。また、太陽紫外線を含む波長領域(215-330 nm) においてOHラジカル生成効率を定量することで、気液界面の光反応という新たなOH生成過程が大気化学へ及ぼす影響を検証する。
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研究成果の概要 |
レーザー誘起蛍光法を用いた液体有機物界面における光化学反応の定量法を開発し、液体ノナン酸界面の213nm光分解におけるOH生成効率の上限値を測定することに成功した。そして、和周波発生分光法を用いて液体ノナン酸界面ではノナン酸分子が環状二量体を形成することで光化学反応性が低下している可能性を示した。また、独自に開発した再結晶装置を用いて極めて高純度のノナン酸を精製し、紫外光の吸収断面積を測定した。その結果、ノナン酸は260nm以上の光をほぼ吸収しないことが明らかとなり、ノナン酸の吸収と考えられていたものが試薬に含まれる0.1%以下の不純物(ケトン類)に由来していたことが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題によって、液体有機物界面の光化学反応性の絶対値を定量する実験手法が開発された。これにより現在の大気モデルにおいて最大の不確定性とされている気液界面の光化学反応研究に一定の道筋がつけられた。加えて、近年の大気化学分野において注目されているノナン酸の光分解反応によるOHラジカル生成過程が従来の定説とは異なりほぼ無視できることが明らかにされ、液体試薬を扱った光化学研究における微量不純物の影響力を強く認識させることとなった。これらの研究成果は大気化学分野の室内実験研究において極めて重要な技術と知見であり、今後の気候変動予測の精度向上に貢献することが期待される。
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