研究課題/領域番号 |
22K18025
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武 靖 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (20813405)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 枯れ草量 / 臨界風速 / ダスト / 衛星観測 / 風食 / 乾燥地 / 枯れ草 |
研究開始時の研究の概要 |
地球の陸地面積の41%を占める乾燥地は、風食の被害を受けやすい。乾燥地の10~20%が砂漠化していると報告されているが推定方法が主観的であることから、風食リスクを客観的に評価する手法の確立が求められている。枯れ草は風食発生を大きく抑制するが、枯れ草量の推定は難しいため、風食発生の予測精度は低い。本研究では、衛星データによる枯れ草指数を使用して、風食リスクを評価する効果的な新方法を開発する。具体的には、①枯れ草測定結果に基づいた枯れ草量推定手法の開発、②枯れ草量推定法の検証、③枯れ草量と風食発生の関係を定量的解明することにより、枯れ草の風食抑制効果をモデル化し、風食予測モデルの精度を向上させる。
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研究実績の概要 |
1.衛星枯れ草指数による枯れ草量の推定 ゴビ砂漠ツォクトオボー(TsO)の地表面条件の異なる18地点において、2001~2022年春季に取得した植生写真データの一部をMIPARソフトウェアで枯れ草の被覆率を算出し、学習データセットを作成した上で、画像解析用ディープラーニングモデルを開発した。モデルによって植生写真データから得た枯れ草の被覆率データと衛星植生指数MODIS Soil Tillage Index(STI)の関係を明らかにして、精度の高い枯れ草量推定手法を開発した。 2.枯れ草効果の検証 乾燥地では、枯れ草植被率がダスト発生臨界風速に影響を及ぼし、その結果、ダスト発生に影響する。本研究は、2001~2021年のダストが頻繁に発生する3月と4月のゴビ砂漠とその周辺地域におけるダスト発生及び3種類の定義による強風発生頻度の時空間分布を調べた。それぞれの強風の定義で予測されるダスト発生とダスト発生の観測結果によるスレットスコアを用いて、枯れ草の変動がダスト発生に及ぼす影響を評価した。その結果、MODIS STIから算出される枯れ草は、3月よりも4月において顕著にダスト発生に影響していた。このことは、3月は枯れ草に加え、土壌の凍結融解や積雪といった地表面パラメータについても考慮する必要があることを示唆している。しかし、4月は枯れ草植被率のみで推定される臨界風速を用いることで、ダスト発生の予測精度が向上した。このことから、枯れ草植被率が4月のダスト発生の変動を支配する重要な要因であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のためモンゴルゴビ砂漠現地での植生調査はできなかったが、現地気象台のスタッフに代行調査してもらい、現地植生調査データが取得できた。画像解析ディープラーニングモデルを開発したことで、枯れ草量の衛星観測法の開発・手法の改良を進めることができた。 MODIS STIから推定した枯れ草植被率のダスト発生への影響に関しては、地上実況気象通報式(SYNOP)データによる検証を行った。枯れ草効果を考慮した臨界風速の推定手法を開発し、ゴビ砂漠とその周辺地域における枯れ草の変動がダスト発生に及ぼす影響を評価できた。これらの発見は、枯れ草植被率の推定をダストモデルに応用すべきであることを示唆している。
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今後の研究の推進方策 |
1.「粗度長による枯れ草推定手法の検証」 TsO周辺において、窪地(谷底)および斜面に計3ヶ所で気象及び飛砂の常時観測を行っている。これらに加えて地表面条件の異なる3~5箇所 で、風食が激しい時期(春季)のみの臨時観測地点を追加する。各地点において、3~4高度の風速、風向、気温、飛砂量を測定し、粗度長と臨界風速を見積もる。この粗度長、臨界風速と比較することで、開発した枯れ草量推定手法の妥当性を検証する。これにより、精度を数値で明示できる衛星データによる枯れ草量広域データの作成が可能になる。 2.「枯れ草効果を導入した広域風食リスク予測モデルの開発」 枯れ草量と臨界風速の比較においては、枯れ草等の粗度物質による臨界風速補正関数f(λ)(Shao 2008)を用いるが、この補正関数と、係数および被覆率・遮蔽率から粗度密度(λ)推定の妥当性を調べる。衛星枯れ草量広域データを補正関数に代入することで、信頼できる広域風食リスク(臨界風速)予測モデルを開発する。
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