研究課題/領域番号 |
22K18033
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
矢野 公義 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (50930947)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | DNA複製ストレス / がん遺伝子 / ATRキナーゼ / SWI/SNF複合体 / ATR |
研究開始時の研究の概要 |
DNA複製ストレスの増加は、ほぼ全てのがんに共通するゲノム不安定性の獲得を促進する。SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体は、遺伝子転写、DNA複製や修復に機能し、様々ながんで遺伝子変異が同定されているが、SWI/SNF複合体によるがん抑制機構は十分に解明されていない。そこで本研究は、DNA複製ストレス応答因子ATRキナーゼによるSWI/SNF構成タンパク質のリン酸化制御がDNA複製ストレスを解消するメカニズムを明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
RASなどのがん遺伝子の活性化は、DNA複製ストレスを誘発して、ゲノム不安定性の引き金となる。ATRキナーゼは、複製ストレス応答において中心的な役割を果たし、下流タンパク質をリン酸化することによって様々な細胞応答を制御する。昨年度までに、リン酸化プロテオーム解析によって、KRAS変異によってATR依存的にリン酸化されうるSWI/SNF因子を同定し、複製ストレス応答における機能解析に着手した。 本年度では、正常細胞およびがん細胞を用いて、KRAS変異や薬剤誘導性の複製ストレス下におけるSWI/SNF因子リン酸化の役割を調べた。がん細胞を用いた実験では、RAS野生型がん細胞と比較してRAS変異型がん細胞では、このリン酸化レベルが高いことが見出された。その一方で、正常細胞を用いた実験では、このリン酸化レベルは薬剤誘導性複製ストレスによって上昇するものの、KRAS変異の誘導では明らかな変化はみられなかった。また、薬剤感受性におけるSWI/SNF因子の影響を調べた結果、このSWI/SNF因子を欠損しているがん細胞に野生型タンパク質を強制発現させるとATR阻害剤感受性が上昇した。現在、このSWI/SNF因子リン酸化の複製フォーク動態における役割の機能解析と、がん細胞の薬剤感受性の指標となる複製ストレスマーカーとしての可能性を検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度に予定していた一部の解析を進めることができたが、昨年度のコロナ影響によって生じた遅れを完全に埋めるには至らなかった。そのため、研究期間延長申請を行い、未使用額は次年度の経費に充てることとした。
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今後の研究の推進方策 |
DNAファイバーアッセイにより、正常細胞の薬剤誘導性複製ストレス下において、SWI/SNF因子リン酸化による複製フォークの安定性や再スタートの制御機構を明らかにする。SWI/SNF因子リン酸化レベルの高いがん細胞をスクリーニングし、複製フォーク制御やゲノム不安定性における特性と薬剤感受性を調べる。
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