研究課題/領域番号 |
22K18038
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
五味 良太 京都大学, 工学研究科, 助教 (30794284)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 薬剤耐性菌 / ゲノム解析 / プラスミド / 腸内細菌科細菌 / 大腸菌 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、抗生物質が効かない細菌 (薬剤耐性菌)が世界中で増加し、問題となっている。薬剤耐性菌が他の細菌に薬剤耐性遺伝子を受け渡す際、プラスミドというベクター (運び屋)を経由すること多く、プラスミドは薬剤耐性遺伝子の拡散に大きな寄与をしていることが知られている。河川水といった環境水中にも薬剤耐性菌が存在することが知られているが、環境水中の薬剤耐性菌が保有する薬剤耐性プラスミドに関する知見はほとんど得られていない。本研究では、環境水中の薬剤耐性菌が保有する薬剤耐性プラスミドの塩基配列を大規模に決定し、構造解析と伝達性の評価を行う。
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研究実績の概要 |
近年、抗生物質が効かない細菌 (=薬剤耐性菌)が世界中で増え、大きな問題となっている。薬剤耐性菌は既に世界中で70万人/年の死因となっており、このまま薬剤耐性菌の増加が続くと、2050年には1000万人/年の死因になると予測されている。薬剤耐性の増加・拡散にはプラスミドと呼ばれるDNA小分子が大きな役割を果たしていることが知られているが、環境水中の薬剤耐性菌が保有する薬剤耐性プラスミドの塩基配列や構造についてはよくわかっていない。本研究では、環境水中から薬剤耐性菌を単離し、その細菌が保有している薬剤耐性プラスミドの塩基配列及び構造を大規模に決定し、さらにそれらプラスミドの伝達性を評価することを目的とした。 2022年度は、研究代表者が過去の研究で河川水や下水から単離した薬剤耐性菌と、研究協力者から提供を受けた環境水由来薬剤耐性菌について、 数株その完全長ゲノム配列(染色体とプラスミドが環状につながったゲノム配列)を決定した。なお、2022年度は、腸内細菌科細菌のうち、大腸菌に絞ったゲノム配列の決定を行なった。また、それら決定したゲノム配列を対象としてバイオインフォマティクス解析により薬剤耐性遺伝子の検出、系統学的特性の解析などを行なった。その結果、3つ以上の異なる系統の抗菌薬に耐性となるような組み合わせの薬剤耐性遺伝子を保有する菌株(=多剤耐性菌)が複数存在することがわかった。また、世界中でパンデミックを引き起こしており臨床的に重要な系統(Sequence Type 131)に属する菌株も存在することがわかった。現在、これらの完全長ゲノム配列中のプラスミドの構造を解析しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
薬剤耐性大腸菌の完全長ゲノム配列を決定することができたが、その数が目標としていた数に至らなかったため。次年度以降は、積極的にゲノム配列を決定し、最終的には目標としていた数のゲノム配列を決定・解析する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も、環境水中からの薬剤耐性菌の単離を続けていく。また、初年度である2022年度は研究対象を薬剤耐性大腸菌に絞っていたが、次年度以降はそれ以外の腸内細菌科細菌(例:Klebsiella属菌、Enterobacter属菌、Citrobacter属菌)についても解析対象を広げていく。単離した薬剤耐性菌のショートリードシーケンサー及びロングリードシーケンサーを用いたゲノム配列の決定も、引き続き行なっていく。これら決定したゲノム配列を対象とし、2022年度よりも高度なバイオインフォマティクス解析(薬剤耐性遺伝子・病原遺伝子の検出、一塩基多型に基づく系統学的解析、プラスミドの構造解析・伝達性評価)を行う予定である。
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