研究課題/領域番号 |
22K18063
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
豆野 皓太 東北大学, 農学研究科, 助教 (90908518)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 外来種管理 / 政策評価 / 生態系サービスへの支払い / 生物多様性 / 獣害 / PES / 経済的インセンティブ / 環境評価手法 |
研究開始時の研究の概要 |
外来種防除の推進に向けて報奨金制度が導入されているが、報奨金制度の効果や妥当性は検証されていない。本研究では、アライグマを対象として、報奨金制度の導入が外来種の捕獲数等に与える効果を定量的に明らかにする。続いて、どのようなデザインの報奨金制度であれば防除の実務者の協力意欲をより喚起できるか、選択型実験などの表明選好法を適用して明らかにするとともに、現行の報奨金制度とのギャップを解明する。最後に、どのような成果が得られる防除であれば納税者の理解が得られるか、一般市民の選好評価から解明する。これらの知見に基づいて、防除の推進に向けたより実効性のある報奨金制度のデザインを提案する。
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研究実績の概要 |
本研究では、外来種管理に係る報奨金制度の因果効果を定量的に明らかにするとともに、外来種管理の協力意欲向上にはどのような報奨金デザインが良いかを明らかにすることで、外来種管理の推進に向けたより実効性のある報奨金制度デザインの提案を最終目的としている。 本年度は、北海道におけるアライグマ捕獲に対する報奨金制度を含む経済的インセンティブの付与政策が捕獲等数や農業被害に及ぼす因果効果の定量分析に取り組んだ。具体的には、昨年度に整理・収集した捕獲等数や報奨金、農業被害額に関するデータと集落の農業状況に関するデータを結合したデータに経済分析を適用することで、以下の3点が分かった。アライグマのワナかけ日数は農業被害額には影響を与えないが、捕獲数は農業被害額の減少に貢献することがわかった。また、捕獲に対する報奨金の付与はアライグマのワナかけ日数や捕獲数、農業被害額に影響を及ぼさないことがわかった。一方で捕獲個体の処理に対する経済的支援などが捕獲数に影響を及ぼすことがわかった。本研究の結果は、アライグマによる農業被害の緩和には、捕獲に対するより包括的な経済的インセンティブの付与が重要であることを示唆している。 上記の経済分析に加えて、野生動物と人との軋轢が社会に及ぼする負の影響を金銭価値で評価し、報奨金制度の妥当性の検証を行うために環境経済評価手法を適用したアンケート調査の設計に取り組んだ。具体的には、アライグマやヌートリアなどの外来種を含む獣害を引き起こしている野生動物15種を選定し、コンジョイント分析の1つである選択型実験デザインを確定させた。さらに、選択型実験におけるシナリオやアンケート調査の配布対象などを確定させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経済分析に関する結果の頑健性を確認するための多少の追加分析は必要であるものの、経済的インセンティブが外来種管理に及ぼす因果効果の推定は概ね評価することができた。 また、報奨金の妥当性を検証するアンケート調査についても、細かな質問修正は必要であるものの調査デザインについては確定できており、すぐにでも実施できる状況である。全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
経済的インセンティブが外来種管理に及ぼす因果効果の推定について結果の頑健性を確認すべく解析を進めていく。また、調査会社を通じて報奨金の妥当性を検証するアンケート調査を実施し、アンケート調査から得られたデータの統計解析を進める。
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