研究課題/領域番号 |
22K18067
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杜 依濛 京都大学, 経済学研究科, 特定研究員 (70870096)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 価格高騰 / EPEX卸電力市場 / 再生可能エネルギー / 石炭火力発電 / ガス価格 / 卸電力市場 / 時間前市場 / フィードインプレミアム |
研究開始時の研究の概要 |
日本では、これまでの固定価格買取制度(FIT)に代わり、一定の補助額上乗せにより再エネ導入を促進するフィードインプレミアム(FIP)制度の来年度導入により、再エネ市場統合のさらなる拡大が予想される。発電予測と需給調整が困難な再エネ電源にとって、実需給により近い時間前市場が必要とされており、FIP導入後の市場活性化が期待される。本研究は、動的な時系列モデルを用いて、FIP制度導入前後における、再エネの市場統合による時間前市場とスポット市場の価格形成メカニズムの変化と時間前市場の利用拡大がもたらす電力市場の安定化と社会的費用削減の変化を定量的に評価・解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
ドイツにおける卸電力市場の価格高騰時のスポット価格に影響する要因について、閾値モデルを使用して検証しました。 ドイツにおいては、ガス価格が上昇すると、高額な天然ガスからの切り替え用の代替電源として、石炭火力発電の利用が増加していた。同様に、風力発電の出力が減少する期間中には、石炭火力とガス火力発電の利用が増加された。しかしながら、本研究の分析結果によれば、この風力出力の減少による化石燃料の使用増加は、スポット価格高騰の主な原因ではないと検証された。ドイツの電力スポット市場における価格高騰の主な原因が燃料コストの上昇と、ガス火力供給不足による石炭火力の使用が増加していることであることが明らかになった。具体的に、価格の急騰が起こる中、風力発電の出力が1%減少すると、スポット価格が0.075%上昇する可能性があるが、ガス価格が1%上昇すると、スポット価格が1.040%上昇する可能性がある。つまり、「ガス価格の急騰による石炭火力への移行」の影響は、「風力発電の出力減少によるガス火力への移行」の影響の約14倍だとわかった。 さらに、太陽光発電と揚水力発電が、高価格体制下で平均スポット価格低減に役を立つことがわかりました。しかし、風力発電の出力が低い期間において、揚水力発電がスポット価格の安定化に果たす役割についての有意な結果が見当たらなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度太陽光発電協会と京都大学による共催シンポジウム(2022年開催)、環境経済・政策学会2022年次大会、2022年度京都大学再生可能エネルギー経済学講座シンポジウムと公開研究会、EnergyTask25の2023年度会議、International Energy Workshop2023年大会にて、本研究の研究結果を発表し、海内外の研究者と意見交流を行った。現在は、ジャーナル投稿に向けて、分析の修正を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
モデルの変数選択における内生性問題と、閾値モデルを使用する際に、閾値の選択について意見をもらったため、モデルの修正を行なっている。今後は、分析結果の頑健性テストを行う予定である。論文の執筆はほぼ完了していますが、再分析による結果に変化が出る場合、修正することが予想される。
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