研究課題/領域番号 |
22K18073
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山口 陽平 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構(BKC), 研究員 (80910596)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 淡水需給変化 / 食料貿易 / 灌漑用水必要量 / 食料生産 / 時系列変化 / 天水必要量 / 要因分析 / 二時点比較 / 食料需給 / ウォーターフットプリント / 水資源需給 / 変動要因 / 国際貿易 / 需給変動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、食料の生産と消費の時系列変化に着目し、淡水需給逼迫度の時点別増減要因(空間要因)と時系列変動要因(時間要因)を世界規模で明らかにすることを目的として、1)食品間の投入産出収支を可視化し、2)淡水需給逼迫度に対する天水消費量の影響を定量化すると共に、3)淡水需給逼迫度の要因分解式を作成する。空間要因の分析では各国の食料生産や食料消費の地域特性の差異を可視化し、時間要因の分析では各国の淡水需給逼迫度の時系列変化を可視化する。食料生産と食料消費それぞれに対する国レベルでの水資源政策の方向性決定や、淡水需給逼迫度の将来変動予測や低減ポテンシャルの分析への一助となることが期待される。
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研究実績の概要 |
本年度は二時点を対象とした時間変化の要因分析から、複数年を対象とした時系列変化の要因分析へ拡張するために、淡水需給逼迫度や淡水資源必要量の時系列推移の推計およびその要因分析についての予備的分析を進めた。 灌漑用水を対象に、2008年と2018年の二時点でアジアの食料生産に関わる淡水需給率と食料消費に関わる淡水需給率をそれぞれ推計し、各年で双方を比較して淡水需給逼迫度に対する食料貿易の影響を評価した。その結果、灌漑用水消費原単位や灌漑効率の時系列変化を加味しない場合、当該二時点でコメの生産と輸入、輸出それぞれに付随する灌漑用水必要量が顕著に高くなった。食料貿易にはアジア全体として淡水需給強度を大きく変化させるほどの効果は見られなかったが、大部分の国では食料消費に関わる淡水需給率が食料生産に関わるそれを上回る結果となった。 上記から評価期間を拡張し、アジアを対象に食料生産に関わる灌漑用水必要量、灌漑用水輸入量、灌漑用水輸出量、最終消費に関わる灌漑用水必要量、および食料生産に関わる淡水資源逼迫度について、2000年から2020年までの時系列推移の推計を進めた。このうち、食料生産に関わる淡水需給逼迫度については、簡易な要因分解式に基づいて要因を決定し、当該二時点の比較による時間変化の要因分析を進めた。 また、天水と灌漑用水の両方を対象に、2000年と2018年の二時点で食料消費に関わる淡水資源必要量の推計を進めた。修正した要因分解式に基づいて要因を決定し、当該二時点の淡水資源必要量の変化への輸入や輸出の影響の大きさを社会経済要因などの他の要因の影響の大きさと比較し、淡水資源必要量の時間変化の要因分析を世界規模で進めた。 本年度は食品間の投入産出収支の可視化へ分析を拡張するために、産業連関表と組み合わせた分析の検討材料として関連文献を収集・調査し、その分析枠組みの構築に向けた準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は時系列変化の要因分析に関連する予備的分析に重点的に進めたため、食料生産に関わる淡水需給逼迫度と食料消費に関わる淡水資源必要量の双方とも、複数年を対象とした時系列変化の要因分析への拡張には至らなかった。この部分は次年度の課題として残った。 また本年度は上記の要因分析を重点的に進めたため、食品間の投入産出収支の可視化については構想段階に止まった。そのため、産業連関表と組み合わせた分析の検討など、食品間の投入産出収支を可視化するための分析枠組みの構築は次年度の課題として残った。 総じて、当初想定よりも進捗にやや遅れが見られるものの、特に時系列変化の要因分析については着実に進展が見られる。また食品間の投入産出収支の可視化については、昨年度から整備を進めてきたデータの更新、あるいは今後、統計データなどの利用可能年に拡張が見られる場合には、当該年の新たなデータの追加整備が想定されるが、当該分析に用いるデータの大部分は時系列変化の要因分析に用いるデータを活用する予定である。以上より、各分析に用いる基礎データはおおよそ整備できており、次年度の研究遂行は十分に可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は灌漑用水を対象に、2000年から2020年までのアジアについて、食料生産に関わる淡水資源必要量、灌漑用水輸入量や灌漑用水輸出量、最終消費に関わる灌漑用水必要量、および食料生産に関わる淡水需給逼迫度の時系列推移を推計したため、次年度はこれらの推計を世界規模へ拡張し、またこれに天水必要量を加えた分析を進める。その上で、食料生産に関わる淡水需給逼迫度については、本年度の分析に用いた要因分解式への要因の追加を検討し、複数年を対象とした時系列変化の要因分析を世界規模で進める。 一方、本年度は天水と灌漑用水の両方を対象に、2000年と2018年の二時点で世界規模での食料消費に関わる淡水資源必要量の推計を進めたため、次年度はこの分析の評価期間を拡張し、本年度に修正した分析モデルの活用も検討しつつ、複数年を対象とした時系列変化の要因分析を世界規模で進める。 また、アジアを対象とした食料生産に関わる灌漑用水必要量の時系列推移の推計や、上記二時点の世界規模での食料消費に関わる淡水資源必要量の推計を踏まえて、灌漑用水必要量のみを推計した場合と、これに天水必要量を加えた淡水資源必要量を推計した場合では、淡水資源必要量を高めている品目に違いが生じている可能性がある。そこで、次年度は天水必要量と灌漑用水必要量を明示的に区別した分析の検討も進める。 食品間の投入産出収支の可視化については、次年度も引き続き産業連関表と組み合わせた分析を検討するための関連文献の収集・調査を進める。また分析に使用する候補のデータベースについて調査し、食料需給収支や食料貿易収支の分析、また時系列変化の要因分析に食品間の投入産出収支を組み込んだ分析枠組みの構築を進める。
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