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インド映画産業における検閲制度の変化と性表現の相関性をめぐる実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K18078
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分80010:地域研究関連
研究機関金沢大学

研究代表者

飯田 玲子  金沢大学, GS教育系, 講師 (10757587)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
キーワードインド映画 / 映画検閲 / 性表現 / クィア映画 / 検閲制度 / 検閲 / 映画認証 / セクシュアリティ
研究開始時の研究の概要

本研究は、インド映画産業における性表現の検閲を通じ、「正しい女性」像がどのように 議論・表象されているかを検証する。1990年代のインド経済自由化以降、英領植民地時代に策定された法規制や表象規制が緩和されはじめた。インド映画の公開許可や作品中の性表現を討議する中央映画認証委員会(Central Board of Film Certificate)では、審査員の半数を女性が占めるようになっている。本研究は、文献調査とフィールドワークを通じ、 性表象をめぐる法制度の変遷と、審査を担う人々の多様なライフコース、CBFCでの審議経験に着目して、正しい女性像が構築されているのかを明らかにする。

研究実績の概要

2023年度は、中央映画認証委員会(CBFC)の制度的変遷と組織構造に関する史料調査および、フィールドワークを実施した。史料調査にかんしては、植民地期に組織化された映画検閲局が、1983年に現CBFCに改組される際、組織構造や人事制度、雇用の面でどのような変化があったのか、インド国内で収集した史資料をもとに分析をおこなった。また、「映写法」の立法過程を分析することで、植民地期と独立以後の性表現の指針変化について比較して分析をおこなった。性表現に関する規制に関しては、「女性の低俗な表象禁止法(1986)」および「女性の低俗な表象禁止規則(1987)」に関する官報・新聞記事の収集分析をおこなった。
フィールドワークに関しては、映画における性表現に関してデータ収集をおこなうため、Kashish Mumbai Queer Film Festivalに参加し、インドにおけるクィア映画と検閲の関係についてのフィールドワークをおこなった。ただしfilm festivalに出品される作品は、インドの大衆的な映画館で上映されているわけではなく、限定的にしか視聴できないものである。しかし、性の表現を製作者達がどのようにおこなっているのか、社会のなかの異性愛規範をどのように認識しているのかを理解する上で、重要なデータになると考えられる。
また映画のプレイバックシンガーへのインタビューを実施し、映画で用いられる歌のなかで、性にまつわる歌詞や単語の置き換え、比喩表現などについても聞き取り調査を実施した。その成果として短報を出版したが、調査で得られた主要なデータ部分は、2024年度中の論文投稿を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度はインドでのフィールドワークを通じて、映画制作者や歌い手、演じ手などに聞き取り調査をおこなうことを目的としていた。サンプル数は少ないものの、少しづつその数を増やしており、プロジェクト期間内に、分析に必要なデータはそろうと考える。また性表現に関して、ムンバイでのクィア映画祭に参加できたことによって、インドのクィア映画制作の現状や作品についての情報を多く手に入れることができた。これらの映画作品は国内で大衆性を獲得しているわけではないが、インドの性規範や、文化と政治の関係を考える本科研プロジェクトを進める上で、重要なデータとなる。
以上のことから、当初の期待よりも進んでいる点も多くあるため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

2024年度は、すでに得られたデータ(大衆映画の制作者や演じてのナラティブデータとクィア映画制作および表象の政治)を元に、(1)追加でのフィールドワークの実施と、(2)データ分析をおこない、本研究課題を推進する。
(1)について、2024年度前半はデータサンプル数を増やすべく、引き続き制作者や演じ手に対するインタビューを実施する。また、これまでの期間では収集できていなかった、英領期のシネマトグラフ法やその成立過程に関する資料収集を、インドとイギリスで実施する予定である。
(2)について、2024年度後半からは得られたデータをもとに分析をおこない、今年度中に性規範と表現にかんする論文の投稿を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (8件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] インド映画がうつし出す政治と社会2023

    • 著者名/発表者名
      飯田玲子
    • 雑誌名

      月刊東亜

      巻: 672 ページ: 58-59

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 企業広告の炎上とコミュナリズム2023

    • 著者名/発表者名
      飯田玲子
    • 雑誌名

      月刊東亜

      巻: 678 ページ: 58-59

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「都市文化としての美容産業」2023

    • 著者名/発表者名
      飯田玲子
    • 雑誌名

      『インド文化読本』

      巻: - ページ: 141-144

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「国勢調査とインド社会」2023

    • 著者名/発表者名
      飯田玲子
    • 雑誌名

      月刊東亜

      巻: - ページ: 58-59

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「これからを生きるために「当時の決断」を振り返る」2022

    • 著者名/発表者名
      飯田玲子・小國和子
    • 雑誌名

      『コロナ禍を生きる大学生—留学中のパンデミック経験を語り合う』

      巻: - ページ: 176-214

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「世界を席巻するインド系移民の歴史と現在」2022

    • 著者名/発表者名
      飯田玲子
    • 雑誌名

      月刊東亜

      巻: - ページ: 58-59

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「「ブルドーザーの正義」によるインド民主主義の危機」2022

    • 著者名/発表者名
      飯田玲子
    • 雑誌名

      月刊東亜

      巻: - ページ: 58-59

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「嗜好品の愉楽とたばこの公衆衛生をめぐる現在」2022

    • 著者名/発表者名
      飯田玲子
    • 雑誌名

      月刊東亜

      巻: - ページ: 58-59

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「「まねぶ(模倣)」の可能性から見た身体動作の継承——視線を事例に」2022

    • 著者名/発表者名
      飯田玲子
    • 学会等名
      日本音楽教育学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] そして私も音楽になった2024

    • 著者名/発表者名
      小西 公大、大門 碧、飯田 玲子、小林 史子、山本 達也、石上 則子、平田 晶子、宮内 康乃、佐本 英規
    • 総ページ数
      312
    • 出版者
      うつつ堂
    • ISBN
      9784910855011
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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