研究課題/領域番号 |
22K18085
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
|
研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
板倉 和裕 奈良工業高等専門学校, 一般教科, 助教 (00809212)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 現代インド / 民主主義 / ムスリムの政治運動 / 州政治 / マイノリティ / ムスリム / 政治運動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代インドにおけるムスリムの政治運動に注目し、自らの生存と少数派の権利を保障するための主体的な活動について調査を行う。これを通じて、本研究は、ムスリムによる組織的な運動の発生と持続、そして少数派である彼らの運動がヒンドゥー多数派主義の浸透を抑止する有効な手段になり得るための政治・社会的な条件について考察する。 本研究の意義は、第一に、「州」という単位に着目し、州によって異なる少数派の包摂と排除の多様な実態を実証的に示すこと、第二に、ムスリムを自らの権利のため能動的に行動する政治的主体として捉え、彼らの運動の効果という観点から現代インドの民主政治の動態を分析することにある。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、現代インドにおけるムスリムによる政治運動に注目し、彼らの運動がいかに生まれ、どのように展開しているか、そして宗教的少数派であるムスリムの組織的な運動がヒンドゥー多数派主義の確立を抑止する有効な手段になり得るための政治・社会的条件にはどのようなものがあるかについて考察することにある。この目的のため、本研究では、選挙を中心とする政党政治の展開と選挙外で行われるムスリムの運動の二つの動きに注目して、インドでの現地調査を含め国内外で資料・情報収集を行っている。 令和5年度(2年目)は、国内で入手可能な文献・資料の収集を継続するとともに、2023年12月に本研究課題にかかる2回目の現地調査(2023年12月25日~2024年1月1日)を実施した。まず、国内での文献・資料収集では、アジア経済研究所図書館を訪問し、インドの学術雑誌や新聞等に掲載された選挙関連の特集・分析記事の調査・収集を行った。この資料収集では、特に2019年に実施されたインド連邦下院選挙以降の州レベルの選挙について、各選挙における主な争点は何であったか、政党間の競争・連携はどのように展開していたかに焦点を当て調査を進めた。次に、現地調査では、前回と同じくデリーとハイデラバードの二都市に滞在した。デリーでは現地図書館(Prime Ministers Museum and Library)を訪問し、現地の学術雑誌に掲載された最近のインド政治分析論文を閲覧・調査した。ハイデラバードでは、同市に立地する宗教関係施設や本事業で研究対象としている団体等の活動拠点を訪問・視察した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度に本研究課題にかかる最初の現地調査(2023年3月)を実施し、令和5年度は2回目の現地調査を行った(前回と同じデリーとハイデラバードの二都市に滞在)。昨年度は、収集した資料の分析と整理を通じて、テランガーナ州のハイデラバードに拠点を置く地域政党のムスリム評議会(All India Majlis-E-Ittehadul Muslimeen)が、近隣諸州の地方・州議会選挙でも候補者を擁立するようになっていること、そして、2019年のマハーラーシュトラ州議会選挙では2議席(前回選挙でも同議席数を獲得)、2020年のビハール州議会選挙では5議席を同党所属の候補者が獲得したように、党の活動地域が拡大していることが分かった。現在は、ムスリム評議会による州外への進出の動きに注目して、同党がいかにして支持を拡大してきたか、近年伝統的な地盤を越えて他の地域でも支持を得るようになってきているのはなぜなのか、また進出先の州政治にどのような影響を与えているか等の問題について、現地の学術雑誌や新聞等における選挙特集・報道記事を収集しながら、それらの分析と考察を進めている。 二次資料の収集はおおむね順調に進展しているが、現地調査の計画について変更を行った。具体的には、令和5年度は当初2回の現地調査の実施を予定していたが、インドにて開催の国際会議で発表する機会を得たため、渡航計画を再検討し、令和6年度に2回の現地調査を実施することにした。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的を達成するため、国内外で関連する資料・データの収集を継続するとともに、令和6年度(最終年度)は2回の現地調査(9月と12月)を実施する。資料収集については、2019年のインド総選挙以降に実施された選挙関係の特集・分析記事および各種の社会調査結果を中心に行う。州レベルの政治動向については、テランガーナ州を中心に扱いつつ、比較検討の対象としてビハール州とジャールカンド州にも焦点を当てる。また、選挙外でのムスリムによる運動の展開について把握するため、現地新聞紙の調査を同時に行う。現地調査は、二次資料から得られた情報を検証・補完するとともに、ムスリムによる政治運動の発生・持続の要因について説明するミクロな情報を収集するために実施する。さらに、上記の州における政治関係の話題や出来事に関する現地での解釈のされ方・反応についての理解を深めるため、現地研究者に対するインタビューを行う。 以上を着実に遂行するとともに、研究活動の成果発表として学会報告を行い、最終的に学会誌に論文を投稿する。
|