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イタリア社会的農業とオルタナティブ・フードネットワークの展開

研究課題

研究課題/領域番号 22K18094
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分80010:地域研究関連
研究機関明治大学

研究代表者

中野 美季  明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (50823366)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード社会的農業 / オルタナティブ・フードネットワーク(AFNs) / イタリア / 社会的経済 / 社会的連帯経済 / 社会的協同組合 / GAS / 多機能農業 / 社会連帯経済 / イタリア社会的経済 / 市民運動 / 民主化運動 / イタリア地域研究 / オルタナティブ・フードネットワーク / 連帯経済
研究開始時の研究の概要

社会的弱者を農業によって社会に包摂するイタリアの社会的農業は、既存農業資源を従来とは異なる目的に活用し農業生産物と同時に地域社会への効用を創出する社会的イノベーションであり、イタリアでは2015年に他国に先んじて国法が成立した。
今日日本でも農福連携として近似の取り組みが注目されている 。農福連携が産業としての農業と障碍者福祉面のメリットに着目するのに対し、本研究は社会的農業の発達の土壌に着目し、イタリア精神文化に歴史的に見られる包摂的・持続可能な社会への意思、およびその意思の現代的展開としてのAFNs(Alternative Food Networks)の生成と展開を明らかにする。

研究実績の概要

2023年度は現地調査、オンライン調査、文献調査を進めた。
《現地調査:欧州》(1)【3~4月:イタリア、スイス】スイス、ティチーノ州コリッポにおいて3日間過疎化山村のアルベルゴディフーゾ(分散型ホテル)による地域振興事例調査を行った。イタリア、ヴェネト州ロヴィーゴで「18th Conference Aree Fragili(脆弱地帯カンファレンス)」(テーマ:Agricoltura sociale e lavoro nelle aree rurali fragili(脆弱農村地帯における社会的農業と仕事))に出席し、ヨーロッパ社会的農業の現状に関して欧州研究者と意見交換及び日本の事例に関する口頭発表を行った。ボローニャ、トリノ、ミラノで社会的農業、多機能農業、社会的連帯経済の調査を行った。以上により、コロナ禍を経た社会的農業、社会的連帯経済の状況をアップデートした。調査の成果を2023年秋刊行の農村計画学会誌に発表した。
《現地調査:日本》(2)【5月:長野県佐久市】医療機関を軸にした農村地域づくり「佐久総合病院・病院祭」を視察。(3)【9月:宮崎県椎葉村】過疎山村の生活文化伝承を通じた地域づくりを視察。調査の成果を2023年秋刊行の農村計画学会誌に発表した。《オンライン》(4)【10月:当事者研究全国交流集会、べてるまつり(社会福祉法人浦河べてるの家)】視聴。精神障碍者を包摂する地域づくりと就労支援。(2)~(4)はイタリアおよび欧州の地域づくりと社会的包摂に関する研究の日本における参照点となっている。
《文献調査》 (5)2021~2022年に実施されたイタリア及びEU圏調査研究の報告書が2023年度にいくつか公表された。2024年に入ってからも最新の研究レポートが発表されており、文献研究に注力している。これらも参照しつつ社会的農業に関する研究成果を文章にまとめている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年3~4月のイタリア調査で社会的農業のコロナ禍を経た現状を確認した。さらに2023年度には社会的農業に関する新たな研究報告が公開され、それらも統合して社会的農業について文章化を進めている。
イタリアの生活実感は2022年夏以降コロナ禍からほぼ回復したと言われ、2023年度には対面の学会開催、新文献公開等、情報更新が進んだ。進捗・発表が滞っていた調査研究のなかでは、まず2021年に調査が進んだ第7回農業センサスの結果公開が2022年後半から順次始まった。またEUファンドの国際共同研究「社会的農業の市場展望」報告書が2021年9月に発表され、論文版が2022年8月に刊行された。さらに2022年11月~2023年10月実施のEU・CAPネットワーク共同研究「社会的農業とイノベーション」報告書が11月に発表された。これら新情報により社会的農業の現状理解が進んだ。
研究計画では調査・研究内容として以下を提示した。①社会的農業国法の国内実施状況。②社会的連帯経済に属する諸団体の活動と動向。③イタリア近・現代史文献調査。市民運動の視点からイタリア社会史を再構成する。④調査①~③を統合し社会史上に位置づける。以下現在までの進捗状況を述べる。
<①に関して>2022年に全20州の州法が施行されたが、州認定制度への農場登録は停滞している。国内ガイドラインは未公布。社会的農業には社会的イノベーションとしての期待が高まっている。<②に関して>2024年3~4月の現地調査で社会的連帯経済の活動家にヒアリングを行った。コロナ禍後に新たな課題が見られ、状況の変化に留意する必要がある。脱成長運動は活発な活動が行われている。<③に関して>社会的経済・連帯経済につながる事項に関して様々な文献から情報収集し、関連事項の年表を作成している。<④に関して>③の年表を参照し、社会的農業について文章化を進めている。

今後の研究の推進方策

(1)2025年の書籍化を目途に引き続き社会的農業に関する研究成果の執筆を進める。それに際して③社会史年表を念頭に置いて進める。
(2)社会的農業を取り巻くAFNs、社会的連帯経済についてまとめ、文章化する。
<①社会的農業に関して>2023年3~4月のイタリア調査及び2023年度に公開された調査研究により、コロナ禍を経たイタリア社会的農業の最新状況が把握できたことから、2015年の国法成立以後の実装の進捗状況も踏まえ、イタリア社会的農業に関する調査・研究をまとめる時期であると考え、2025年出版を目途に文章化を進めている。
<②社会的連帯経済(社会的経済、AFNs)に関して>国連ILOが推進する「社会的連帯経済(SSE:Social and Solidarity Economy)」が注目されているが(ディーセント・ワークと社会的連帯経済に関する決議(第110回ILO総会、2022年6月))、これは従来のイタリアにおける「(社会的)連帯経済」の活動とは必ずしも一致するものではなく、イタリアにおいては1990年代頃から(社会的)連帯経済運動を形成してきた市民による活動・運動がある。現在イタリアで展開する市民の動き(社会的連帯経済、社会的経済、社会的農業等。特に食農関連分野(AFNs)に着目して)の起源・来歴と方向性を調査し、文章化する。
<③主要国の市民運動とイタリア近・現代史に関して>社会的農業の起源と展開を考察する資料として、現在までに作成した年表を活用している。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2025 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [国際共同研究] パドヴァ大学/ピサ大学(イタリア)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] アルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)の展開2023

    • 著者名/発表者名
      中野 美季、井上 果子
    • 雑誌名

      農村計画学会誌

      巻: 42 ページ: 137-141

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 椎葉村の小集落で創造性を考える2023

    • 著者名/発表者名
      井上 果子、中野 美季、栗原 伸治
    • 雑誌名

      農村計画学会誌

      巻: 42 ページ: 94-101

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 世界の創造的小集落-特集の趣旨と構成-2023

    • 著者名/発表者名
      井上 果子、中野 美季、高田 晋史
    • 雑誌名

      農村計画学会誌

      巻: 42 ページ: 92-93

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] イタリアの社会的協同組合2022

    • 著者名/発表者名
      中野 美季
    • 雑誌名

      WORK! DIVERSITYプロジェクト2021年度「海外状況整理部会」報告書(日本財団)

      巻: - ページ: 179-187

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] Creating Human Places to Live and Work -Case Studies of Social Farming in Fragile Rural Areas in Japan-2023

    • 著者名/発表者名
      Miki Nakano,Kako Inoue
    • 学会等名
      18th Conference Aree Fragili, Rovigo,Italy
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] イタリア農業の多機能化ー法制化による農業定義の拡大ー2022

    • 著者名/発表者名
      中野 美季
    • 学会等名
      農村計画学会秋期大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] イタリア社会的農業の誕生と展開2025

    • 著者名/発表者名
      中野 美季
    • 出版者
      一般社団法人 農山漁村文化協会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 人新世の開発原論・農学原論2022

    • 著者名/発表者名
      北野収、西川芳昭、田村優、米川安寿、宮下智衣、キム・アベル・カユンゼ、ルロン石原・ペネロープ、須田文明、中野美季、下田道敬
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      農林統計出版
    • ISBN
      9784897324630
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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