研究課題/領域番号 |
22K18098
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
下山田 翔 東京大学, グローバル教育センター, 特任講師 (20809280)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 庭園観光 / ガーデンツーリズム / オーバーツーリズム / アンダーツーリズム / リスク認識 / COVID-19 / 観光客の分散化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、東京都内の庭園観光計画の実施主体が、オーバー/アンダーツーリズムのリスクをどの程度認識しているのかを明らかにする。東京都郊外部の庭園観光計画の実施主体を対象に、計画構成庭園の観光客誘致状況、構成庭園の観光キャリング・キャパシティーに関する認識、構成庭園間、ならびに構成庭園と都心部の人気観光地の間で観光客を分散させる必要性に関する認識を、フィールドワークを通じて調査する。庭園観光計画を初期段階から調査することで現状を把握し、オーバー/アンダーツーリズムの対策を講じることができる。ひいては、ポストコロナ禍に観光客数の再増加が予想される東京都内の観光地格差是正に寄与することができる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、東京都内の庭園観光計画実施主体が、オーバーツーリズムとアンダーツーリズムのリスクをどのように認識しているのかを明らかにすることである。国土交通省が主導する庭園間交流連携促進計画、通称「ガーデンツーリズム登録制度」に2020年に新規登録された東京都郊外部の庭園観光計画の協議会メンバーを対象に、A)計画構成庭園の観光客誘致状況、B)構成庭園の観光キャリング・キャパシティーに関する認識、3)構成庭園間、ならびに構成庭園と都心部の人気観光地の間での観光客を分散させる必要性に関する認識を調査している。 令和4年度は、当該観光計画の構成庭園から2019~2021年度の来園者数データを提供してもらい、収集した量的データを統計手法を用いて分析したことで、調査項目Aを明らかにすることができた。多くの庭園は来園者数を大幅に減らし、COVID-19の打撃を受けてアンダーツーリズムに陥ったものの、少数の庭園は2019年度よりも多くの来園者を獲得していることが明らかになった。また、当該庭園観光計画の実施主体計17名に対してインタビュー調査を実施することで、調査項目のBとCについてのデータも収集することができた。 令和5年度は、インタビューから収集した質的データを、主題分析という手法を用いて分析した。その結果、郊外部の庭園管理者は、オーバーツーリズムを自分たちの庭園で起こりうるリスクとして認識していないことが明らかになった。反対に、アンダーツーリズムを長年直面し続けているリスクとして認識していることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に示した3年計画に従い、令和4年度中に量的データの分析を、令和5年度中に質的データの分析を完了することができた。さらに、令和5年度中に1本の論文を国際誌に投稿することができ、現在査読審査中である。令和6年度にその論文をアクセプトさせ、さらにもう1本の論文を投稿する予定である。おおむね計画通りであるが、分析された質的データを解釈する際の理論的視座を決める作業に、予想以上に時間がかかっており、若干遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画最終年度である令和6年度は、論文の執筆・投稿・修正作業に注力する。現在、庭園観光実施主体のオーバーツーリズムとアンダーツーリズムに関するリスク認識について執筆した1本の論文を「International Journal of Tourism Research」に投稿済みであり、査読結果を受けて必要に応じて修正を施し、今年度中にアクセプトさせることを目指している。 さらに、オーバーツーリズムとアンダーツーリズム防止手段としての観光客分散についてまとめたもう1本の論文を執筆中であり、「Sustainability」に投稿予定である。執筆にあたり、分析された質的データを解釈するための理論的視座を決める必要があり、カルチュラルツーリズムの知見を援用すべく文献調査を実施している。 研究成果を論文としてまとめられるステージに移行したため、本研究では明らかにできなかったことも浮き彫りになってきた。それらを今後の研究課題として整理し、次の研究計画に組み込んでいく予定である。
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