研究課題/領域番号 |
22K18109
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 流通経済大学 |
研究代表者 |
須川 まり 流通経済大学, 社会学部, 准教授 (10814832)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 映画 / 観光表象 / 京都表象 / 東京表象 / 観光客 / まなざし / 映画学 / 観光客表象 / 擬似観光体験 / ゲストとホスト |
研究開始時の研究の概要 |
観光学では、現地に赴くことを前提にメディアが誘発する観光行動および観光地にもたらす影響を議論してきた。しかしWithコロナ時代に入り、現地に行かないヴァーチャル形態のオンライン・ツーリズム(以下OT)が注目されている。一見OTは新型の観光形態に思われるが、映画史初期から世界各地を記録した短編作品が擬似的に観客を観光地に誘ってきた。本研究では映画学的見地のもと、映像による疑似観光体験とは何か、ゲストとホストのまなざしを軸に1950年代から現代までの東京を舞台にした映画の分析から観光客のまなざし論を展開する。一連の研究結果からOTの特徴をつかみ、映画学と観光学を融合した観光表象研究の確立を試みる。
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研究実績の概要 |
初年度にあたる2022年度は、研究計画書の1年目に沿って、考察対象として提示したソフィア・コッポラ監督の『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)に関連する研究に従事した。本作はインバウンド観光客目線での日本のイメージや京都と東京の観光場面が登場し、観客は映画作品を通して擬似観光体験ができる作品である。理論研究としては海外からみる日本のイメージについてオリエンタリズムに関する文献調査を実施した。 次に東京観光と京都観光の違いを提示するために、『ロスト・イン・トランスレーション』のロケ地調査を行い、京都観光における主人公の移動ルートの特定をした。くわえて本作に登場する観光対象の特徴を明らかにするために、京都観光の場面が登場する国内外の1990年代以降の映画とアニメーション作品の特徴を抽出し、ランドマーク表象分析を行った。本研究に関連して実施された京都観光表象に関する成果は2023年秋頃に著書の一部(共同執筆)で刊行予定である。 『ロスト・イン・トランスレーション』の東京観光については、国内観光の場面が登場する小津安二郎監督の『東京物語』(1953年)との類似点と相違点を探っている途中である。『ロスト・イン・トランスレーション』と違い、『東京物語』の主人公はインバウンド観光客ではないが、ゲストの立場に類似性がみられると考えた。小津による東京観光表象の再整理を継続して実施している。 また今後、観光表象分析の手法を発展させるための土台として、これまでの旅や観光に関連するジャンル映画の整理も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染状況により、ロケ地調査の予定が年度末にずれこんだり、研究の材料となるデータや文献資料の収集が思うように進められなかったため。 本研究に付随して、小津安二郎研究や京都表象研究なども必要であることも判明し、同時並行でこれらの研究も新たに進めているため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究を進めるなかで、改めて観光然とした風景が登場する物語映画について、その特徴の抽出と分類の必要性を再認識させられた。それらの映画の特徴を整理することによって、『ロスト・イン・トランスレーション』を含め、今後論じる予定のロード・ムーヴィーや小津安二郎監督から影響を受けた監督の作品などの独自性がより明確に提示できるように思われる。 今後は研究計画書どおり各作品の観光表象分析を進めながら、同時に、旅と観光に関する映画の整理を行っていく予定である。また脱コロナ社会化が進み、オンラインツーリズムが下火になりつつあるため、早めにオンラインツアーの事例収集にもつとめたいと思う。
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