研究課題/領域番号 |
22K18120
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
鈴木 重周 成城大学, グローカル研究センター, 研究員 (50773785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | クロード・カーアン / マルセル・シュウォブ / ユダヤ系フランス人 / ユダヤ性 / ヒロイン / ユダヤ性とジェンダー / ユダヤ人女性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、二十世紀フランスのシュルレアリスト写真家として知られるクロード・カーアン(Claude Cahun, 1894-1954)を、ドレフュス事件から二つの世界大戦に至る激動の時代を生きたユダヤ系フランス人女性としてとらえ、彼女が自身の「ユダヤ性」をどのようなものとして認識していたのかを、彼女の生涯、文学テクストの分析、フランスの歴史的・社会状況を照合することによって明らかにするものである。カーアンという芸術家に「ユダヤ」という視点からアプローチすることによって、フランス・ユダヤ研究とフェミニズムを接合しうる女性表現者として彼女を位置づけることを試みる。
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研究実績の概要 |
初年度から継続している資料調査をふまえ、今年度は、主に以下の研究を行った。 1)先行研究においてシュルレアリスムとの関連で語られることの多いクロード・カーアンのユダヤ系フランス人としての側面に着目した。フランス西部ナントの名士であるユダヤ系フランス人一家シュウォブ家の一人娘としてドレフュス事件の年に生まれた彼女の表現者としての活動とセクシャリティを、「ユダヤ性とジェンダー」という観点から再考する口頭発表「クロード・カーアン再考」を所属学会にて行った。2)フランス美学・美術史を専門とする研究者との共同研究を行い、その成果公表の一環として、メンバーの著作の合評会を本科研費の共催で行った。19世紀後半から両次大戦間期フランスにおいて美術館行政と実務を担ってきた学芸員たちによる展覧会企画のなかで、過去と現代をつなぐフランス美術だけがもつ「連続性」というフィクショナルな概念がどのようにナショナリズムや反ユダヤ主義をめぐる言説と結びついているのか検討する口頭発表を行った。3)本研究課題にとって、現代フランスにおけるユダヤ系作家をめぐる動向も重要な関心事である。近年のフランス語文学の一つの潮流である、ユダヤ系作家が自らの祖父母の生涯を通して一族のファミリーヒストリーを描きつつ必然的に物語はホロコーストにたどり着くという「家族をめぐる文学」の最新作とも言えるベレスト『ポストカード』の書評を発表した。 また、3月にはパリ出張を行い、ユダヤ教歴史・芸術博物館およびショア記念館で資料調査を行った。 来年度は今年度の調査をふまえ論文の形で成果公表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は口頭発表やシンポジウム共催、書評発表等の成果公表を行ったが、コロナ禍で海外調査ができなかった初年度の遅れをまだ取り戻せてはいない。今年度末にフランスでの資料収集と調査を行うことができたため、徐々に遅れをリカバリーできつつある。
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今後の研究の推進方策 |
令和六年度は、過去二年の成果と資料調査をふまえて、論文の執筆と公表を行う。 クロード・カーアンに縁のあるフランスのナント(市立図書館、ロワール=アトランティック県公文書館)およびイギリスのジャージー島(歴史遺産管理委員会)での資料調査を行う予定である。「ナントのシュウォブ家」の一人娘リュシーとして生まれたカーアンが、父のはからいによって、反ユダヤ主義的風潮が強まっていたドレフュス事件期のナントからロンドンへと逃れたにもかかわらず、パリを経由し最終的にはパートナーのシュザンヌ(マルセル・ムーア)とともジャージー島で対ナチスのレジスタンス運動を行いゲシュタポに逮捕されるまでの軌跡を、彼女が残したテクストや反戦ビラから位置付け、「ユダヤ人であること=ユダヤ性」がその表現活動とどのように結びついているのかを検討したい。また、伝統的なユダヤ的規範からは大きく逸脱しているカーアンのセクシャリティに、常に反発を覚えていた父モーリス・シュウォブや育ての親である祖母マチルド・カーアン、そして敬愛していた叔父である作家マルセル・シュウォブとの関係がどのように影響しているのかを明らかにしたい。 本研究課題の最終的な目標は、19世紀から20世紀にかけて何人もの知識人を輩出したユダヤ系フランス人一家である「ナントのシュウォブ家」の最後の一人としてクロード・カーアンを位置付けることである。研究成果を著作として公表すべく、今年度は論文執筆を確実に行う。
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