研究課題/領域番号 |
22K18122
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
山本 沙希 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, ポストドクトラルフェロー (20930184)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ジェンダー / マグリブ / インフォーマル経済 / 労働 / ネットワーク / 手仕事 / インフォーマル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、北アフリカの現代マグリブ地域において、零細規模の「手仕事」を稼得手段としながら、事業認可の取得や収入申告をしていないために就労状態とみなされない、いわゆるインフォーマル経済分野で事業を営むムスリム女性企業家に焦点を当て、その商取引を支える社会的ネットワークの重層的構造を外来資源との接触及び絡み合いの観点から検証する。 そのためには、親族や同郷者との社会関係に留まらず、Ⅰ.インターネットやスマートフォンなど情報通信技術(ICT)の普及と、Ⅱ.多国籍な男性商人との接触作用が果たす機能に着目し、マグリブ女性の商取引の仕組みを、多方向に拓かれたネットワークの実相という視点に基づき解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、北アフリカ・マグリブ地域で零細・小規模事業を営むムスリム女性が、いかに身近な資源を自己の資本として構築し自らの商慣行に結び付けているかを、Ⅰ.情報通信技術の利用実態及びⅡ.多国籍な商人との接触作用という観点から検討するものである。 2023年度は、アルジェリア女性の稼得実践に関するこれまでの研究成果を国内学会で発表し、フィードバックを得た。とりわけ、東南アジアや日本など他地域を専門とする国内研究者との交流を通して、自身の研究を相対化する機会と今後の研究に向けた重要な示唆を得た。 また、2020年度に提出した博士論文に修正を加えたうえで単著として刊行し、インフォーマルかつ零細な経済活動を稼得手段とするアルジェリア女性の家庭内外における交渉プロセスや、身近な資源利用の実態を個のミクロレベルな賢知と狡知の実践と位置づけてその位相を提示した。 これらの研究を進めるにあたり、関連する国内外のマグリブ地域研究及びジェンダー研究の動向を改めて整理し、本研究の最終年度に向けた実施計画の修正と既得データの精緻化を試みた。その一方で現地調査については実施することができなかったため、今後は引き続き研究成果の発表機会を増やしながら、現地調査を通じてデータを収集していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は単著の刊行作業に多大な時間と労力を費やしたために、これまでの調査で得たデータの精緻化作業にはあまり取り組むことができず、また継続的な現地調査の実施も断念せざるを得なかった。加えて、アルジェリアでの現地調査については、当該国の制度的環境が改善しないため、実現可能性の低い状態が続いている。 以上の理由により、本研究の進捗状況は遅れていると判断せざるを得ないが、2022年度にモロッコ及びフランスで得た人脈と既得データを活用しつつ、北アフリカ・地中海圏を活動領域とするムスリム女性企業家の商業ネットワークに接近していくことは可能であり、今後もモロッコやフランス、チュニジアの女性企業家を対象に調査を行い、現代マグリブ女性の稼得戦略を多角的に捉えることを試みる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2023年度に実施できなかった現地調査の実現に向けて、国内外の研究者らに助言を仰ぎつつ、研究計画の修正と調整を行う。2022年度にモロッコ及びフランスで実施した調査を今後も継続して行うほか、チュニジアでの調査を検討しており、関連する先行研究の読み込みと既得データの整理に早急に着手する。 また、これまでの研究成果を国外の学会等で発表し、国外研究者との人脈形成にも積極的に取り組んでいく予定である。
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