研究課題/領域番号 |
22K18147
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉川 次郎 筑波大学, 図書館情報メディア系, 特任助教 (80908400)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 図書館情報学 / 計量書誌学 / 学術情報流通 / オープンサイエンス / 永続的識別子 / Wikipedia / YouTube |
研究開始時の研究の概要 |
Wikipediaにおける学術知識は人々の生活や健康などに影響を及ぼすため,その信頼性を定量的に評価し,改善を図ることは重要な課題である.しかし,研究分野の専門知識を要する文献参照の追加は編集者の負担が大きく,継続的な追加が難しい.そこで本研究では,参照の拡充を要するケースを特定し,候補文献の推薦により編集者が効率的かつ容易に参照を追加するための支援システムを構築する. 本研究を通じて,Wikipediaの記事や研究分野単位で近年公表された文献が参照されていない,あるいは,長年に渡り参照が追加されていないケースの特定と改善を実現し,Wikipediaの学術知識の信頼性や鮮度の大幅な向上を目指す.
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研究実績の概要 |
Wikipedia上での学術文献の参照記述を追加するタスクを支援するためのシステムの構築を通じて,Wikipediaの学術知識の信頼性や鮮度を向上することを目的として,今年度は以下のことに取り組んだ. (1) これまでに申請者が開発した手法を用いて,2023年7月時点での英語版ならびに日本語版Wikipediaにおける学術文献の参照記述を特定した.さらに,過去に申請者が構築した2015年3月時点での英語版ならびに日本語版Wikipediaにおけるデータセットを用いた比較分析を通じて,2015年から2023年にかけて,両言語版において参照記述の件数が着実に増えていることを明らかにした.特に,日本語版に関しては2015年時点では英語版の記事の翻訳を通じて追加された参照記述が多かったが,その後,英語版の翻訳によらない参照記述の件数が大幅に増えていることが明らかになった.この成果は国際会議「A-LIEP2023」にて発表した. (2) Wikipedia上で参照されている学術文献の関連文献を提示するためのシステムに必要となる,学術文献の書誌情報のデータセット構築に関する検討を行った.その情報源となる日本国内の学術文献の学術文献に関するデータセットの調査・入手を進めた. (3) Wikipedia以外を対象とした分析として,オンライン動画プラットフォーム「YouTube」における動画を通じた学術文献や学術知識の発信状況を分析した.2023年4月時点で,出版社や学協会,その他の個人や組織による約4万件のチャンネルによって公開された13万件超の動画から延べ41万件,異なり23万件の学術文献が参照されていることを明らかにした.この成果を国際会議「ICADL2023」にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Wikipedia上での学術文献の参照記述に関する経年的な変化を明らかにすることができたほか,Wikipedia上で参照されている学術文献の関連文献を提示するためのシステムに必要となるデータセットの調査ならびに入手を行うことができたため.また,研究成果を複数の国際会議にて発表することができたため,おおむね順調に進展していると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
入手済みの日本国内の学術文献の学術文献に関するデータセットに基づき,書誌情報を手がかりとして,任意の学術文献に関連する文献を提示するための仕組みの検討・実装を進める. さらに,前年度に引き続き,Wikipedia以外のウェブ上のサービスやコミュニティにおける学術文献や学術知識の発信に関する分析として,YouTubeにおける学術文献の参照記述を特定・分析するための手法の開発ならびに同手法により構築したデータセットの分析を推進する.
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