研究課題/領域番号 |
22K18151
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
池内 有為 文教大学, 文学部, 准教授 (60850245)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | オープンサイエンス / 研究データ共有 / 研究データ管理 / データキュレーション / オープンアクセス / プレプリント / 学術情報流通 / 研究データ公開 / ジャーナルポリシー / 二次分析 |
研究開始時の研究の概要 |
オープンサイエンス政策では、論文や研究データを公開することによる科学研究の進展が期待されている。しかし、データ公開の効果は十分に検証されていない。 そこで本研究は、データ公開が学術コミュニティにもたらす効果を計量的に測定し、分野による差異を明らかにすることを目的とする。具体的には、研究データ公開の要求状況、公開データの利用率、データの公開率を調査した上で、(1)研究の生産性、(2)研究の学際性、(3)研究の国際性、(4)研究の透明性の経年変化を分野間で比較する。 本研究によって、学術情報流通の変容を捉え、証拠に基づく政策立案(EBPM)に資する基礎的なデータを得ることが期待される。
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研究実績の概要 |
日本の研究者による研究データの利用・公開・管理の実践状況と認識を明らかにするために、(1)過去に実施した質問紙調査の二次分析、(2)新規の質問紙調査、(3)比較のための質問紙調査、(4)研究機関を対象とした研究データ管理に関する質問紙調査の分析を実施した。 (1)研究データの利用/公開について、2016、2018、2020年に実施したオンライン質問紙調査の二次分析を行い、国際会議(IDCC 2022)等で発表を行った。ディスカッションを通じて得られた知見をふまえて、(2)(3)の調査設計を行った。 (2)(1)の継続調査として、日本の研究者1,675名を対象としたオンライン質問紙調査を実施し、1,273名から有効回答を得た(回答率73.9%)。成果は国際会議(SciDataCon 2023)に投稿中である。 (3)研究データ公開の状況を、より広くオープンサイエンスの文脈から捉えるために、論文のオープンアクセスおよびプレプリントに関する質問紙調査を実施し、総合的な分析を行うこととした。日本の研究者1,671名を対象としたオンライン質問紙調査を実施し、1,173名から有効回答を得た(回答率70.2%)。日本図書館情報学会等で口頭発表を行い、論文の投稿準備中である。 (4)オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)と大学ICT推進協議会(AXIES)による日本の大学・研究機関を対象とした研究データポリシーの策定状況、研究データ管理やデータキュレーションの人的支援、インフラの整備状況等に関する質問紙調査に協力した。調査項目を(1)(2)と揃えたため、研究者と研究機関それぞれの観点からデータ公開・利用に関する分析を行うことが可能となった。(1)(2)の結果とあわせて分析を行い、成果発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、(A)データ公開の要求状況、(B)データの利用/公開状況、(C)研究データ公開の効果の3つの調査カテゴリで構成されている。 (A)は2023年に実施予定であり、2022年度は調査のためのプロトコルの作成と予備調査を完了した。 (B)は2022年度に実施予定であった質問紙調査の二次分析を完了し、成果発表を行った。また、分析や発表の過程で着想を得て、新たな質問紙調査を2回実施した。さらに、研究機関を対象とした調査の結果もあわせて総合的な分析を行い、2023年度に成果発表するための準備を進めている。 (C)は2022年度から実施しているが、成果発表には至っていない。 当初の研究計画よりも(B)の調査内容および調査対象を拡大したことによって、多角的な分析が行えるようになった。一方、(B)の論文投稿と(C)の学会発表を2023年度に持ち越すこととなったため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(A)データ公開の要求状況は、予定通り2023年度に調査を実施する体制が整っている。 (B)データの利用/公開状況は、調査量が増えたものの分析の見通しは立っており、2022年に実施した調査の学会発表と論文投稿を行う予定である。本研究の成果は学術界のみならず、研究者、図書館員、研究支援者等の実務にとっても有益な示唆が含まれているため、記事や講演等の形で還元する。また、一連の成果を"The State of Open Science in Japan"として、広く共有するためにウェブサイト等による情報発信を検討する。 (C)研究データ公開の効果は、手法の見直しを進め、(A)(B)の結果とあわせて分析する予定である。
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