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想定外の事象が選好に与える影響の解明:オンライン実験とパネル実験による検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K18153
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
研究機関明治大学

研究代表者

後藤 晶  明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (80707886)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードクラウドソーシング / オンライン実験 / 利他性 / 主観的幸福度 / リスク選好 / カタストロフ / 社会的選好 / 時間選好
研究開始時の研究の概要

自然災害や偶発的な情報漏洩,ウイルス感染症拡大のような意図しない,発生に不確実性の存在する想定外の事象は「カタストロフ」ということができる.本研究においては,「カタストロフの発生により社会的選好・リスク選好・時間選好がどのような影響を受けるか」を問いとして,「情報提供手法や制度設計等の介入により,カタストロフ発生以前・以降の選好が変化するのか」を実験およびパネル調査を用いて検討する.

研究実績の概要

本研究においては,想定外の事象の発生により個人の選好がどのような影響を受けるのか解明することを目的として,研究を積み重ねている.本研究においては,オンライン実験ならびにパネル実験の両者を組み合わせて実験を実施している.
パネル実験については,2022年度より向社会性やリスク選好などを中心に11回の実験を実施し,進捗状況は順調である.実験項目については検討した結果,社会的選好については他者に対する分配行動から向社会性を評価するSVOスライダー法および他者に対する信頼の程度を示す一般的信頼尺度,リスク選好については100個の箱のうち1個に爆弾が入っているものを何個集めるかを決めるBRET法を用いて実験を実施している.それ以外に,主観的幸福度ならびに精神的健康尺度を基本的実験項目として実験を続けている.現在までのところ,想定外の事象として能登半島地震の影響について分析し,精神的健康尺度をはじめ,いくつかの項目で影響が認められている.具体的には,震度5以上の地域で精神的健康尺度の「改善」などが認められている.
一方,オンライン実験については,基礎研究としてintro.jsを使った実験を実施している.これにより,オンライン実験におけるsatisfice行動を抑制できることを確認した.一方,カタストロフの影響を検証するための経済ゲーム実験の準備も順調に進んでいる.5期目終了後に累積獲得ポイントが0.3倍に減少する想定外の事象であるカタストロフを発生させ,リスク選好および時間選好に与える影響を解明する10期繰り返し累積ありBRET実験については,プログラムが完成しており,動作検証・予備実験なども実施しており順調に進んでいると言える.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

パネル実験については,2024年5月までにWave11までの実験を実施した.2か月に1度,社会的選好・リスク選好・時間選好およびその他の項目に関するデータを収集し,実験期間中に生じた災害や個人に生じたイベントとの因果関係を分析している.現在までのところ,全体的なトレンドとして,選好への大きな影響は認められないが,能登半島地震をはじめ,いくつかのタイミングで影響が認められている.この点については,より詳細な分析は必要であるが,面白い結果が得られたと考えている.また,いずれの実験項目についても安定した結果が得られていることから,尺度としての妥当性も一定程度あることを確認できたこと,地域差や世代差,所得差などが観察されていることも意義深いであろう.
一方,オンライン実験については,基礎研究としてintro.jsを使った実験を実施している.これにより,オンライン実験におけるsatisfice行動を抑制できることを確認した.一方,カタストロフの影響を検証するための経済ゲーム実験の準備も順調に進んでいる.5期目終了後に累積獲得ポイントが0.3倍に減少する想定外の事象であるカタストロフを発生させ,リスク選好および時間選好に与える影響を解明する10期繰り返し累積ありBRET実験については,プログラムが完成しており,動作検証・予備実験なども実施しており順調に進んでいると言える.
また,本研究で実施しているパネル実験およびオンライン実験の方法について整理し,書籍として出版する計画も進行しており,おおむね順調に進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

パネル実験については,現状のまま継続していく予定である.さらに,毎回の実験について,社会の状況を反映したり,研究として関連性の高い適切な質問項目を追加しながら進めていきたいと考えている.また,一定程度の成果が見えてきたことから,適切な学会での報告や論文投稿などアウトプットを加速していくこととする.
オンライン実験についても基礎研究として実施してきたintro.jsを用いた研究について報告し,BRET法を用いたカタストロフ実験をはじめ,複数の実験を随時実施していく予定である.ただし,実験課題によっては,パネル実験が影響を与える可能性がある.具体的には,BRET法を用いたカタストロフ実験については,過去のBRET法を用いた実験への参加経験が影響を与える可能性があることから,データが影響を受ける可能性がある.その場合には,パネル実験に参加している参加者を除いて実験を行うなど,適当な工夫を行う必要がある.しかしながら,適切な対応が可能であり,実験参加者の確保をはじめ,研究の進行に支障ないと考えている.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 人間は『人工知能』と『協力』できるか:クラウドソーシングを用いた仮想的AIエージェント実験による検討2023

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      社会情報学会

      巻: 12(1) ページ: 1-17

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ふるさと納税と寄付の動機の検討 -心理的特性および社会経済的要因に着目して-2023

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      地域デザイン

      巻: 22 ページ: 107-127

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 被監視感が主観的幸福度・社会的選好に与える影響:クラウドソーシングを用いた実験から2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      社会情報学

      巻: 11(3) ページ: 1-17

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 実務に活かす行動経済学(第3回)ヒューリスティクス(1)2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      税務QA

      巻: 241 ページ: 78-85

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 実務に活かす行動経済学 (第 4 回) ヒューリスティクス (2)2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      税務QA

      巻: 242 ページ: 66-73

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 実務に活かす行動経済学 (第 5 回) 確率と人間2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      税務QA

      巻: 243 ページ: 88-96

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 実務に活かす行動経済学 (第 6 回) ゲーム理論の考え方2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      税務QA

      巻: 244 ページ: 72-77

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 実務に活かす行動経済学 (第 7 回) ゲーム理論の実験: 利他・公正・信頼2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      税務QA

      巻: 245 ページ: 104-112

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 実務に活かす行動経済学 (第 8 回) 公共財ゲーム2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      税務QA

      巻: 246 ページ: 86-94

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 実務に活かす行動経済学 (第 9 回) ナッジとは2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      税務QA

      巻: 248 ページ: 94-103

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 実務に活かす行動経済学 (第 10 回・最終回) ナッジの活用事例と今後の課題2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      税務QA

      巻: 249 ページ: 74-82

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 信頼と監視――情報社会における監視の許容度に関する検討2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 雑誌名

      心理学ワールド

      巻: 98 ページ: 16-19

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] クラウドソーシング実験の現状と課題:実験および調査による検討2024

    • 著者名/発表者名
      後藤晶
    • 学会等名
      情報処理学会第167回情報システムと社会環境研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 災害が主観的意識に与える影響:オンラインパネル調査から2024

    • 著者名/発表者名
      後藤晶
    • 学会等名
      情報コミュニケーション学会第21回全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Google ColabとChat GPTを用いたデータ分析2023

    • 著者名/発表者名
      後藤晶
    • 学会等名
      情報コミュニケーション学会第19回情報教育合同研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Satisfice問題に対するシステムによる解決策の検討:クラウドソーシングによるオンライン実験から2023

    • 著者名/発表者名
      後藤晶
    • 学会等名
      情報処理学会第165回情報システムと社会環境研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] クラウドソーシング実験の現状と課題2023

    • 著者名/発表者名
      後藤晶
    • 学会等名
      第26回実験社会科学カンファレンス
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] オンライン上における社会科学実験の実際2022

    • 著者名/発表者名
      後藤 晶
    • 学会等名
      日本経済会計学会第39回年次大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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