研究課題/領域番号 |
22K18174
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
望月 健太郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50868768)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | Ca過負荷 / 不整脈 / 心筋細胞 / ケージド化合物 / 光パターン形成 / 心筋Ca / カルシウム過負荷 / カルシウム蛍光イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ケージド化合物と光パターン形成技術を利用して心臓局所におけるCa2+濃度を制御し、不整脈発症機構の解明を目指す。 Ca2+過負荷による不整脈発症機構の1つとして、心筋細胞間の電気的結合性の低下による旋回性興奮伝導(リエントリー)の形成が提唱されているが、実験的な再現や検証に乏しくその機構については不明な点が多い。本研究期間内に、光パターン形成技術を搭載した光学システムとケージドCa2+を用い、心筋組織に任意の時空間条件でCa2+過負荷を生成し、リエントリーが誘発される条件を解明する。 本研究で得られる成果は、不整脈の予防や治療に新たな知見をもたらすと期待する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ケージド化合物と光パターン形成技術を用いて心筋組織局所におけるCa2+濃度増加を制御することで、局所的なCa2+過負荷が不整脈を誘発する条件を解明する。当該年度は、心筋組織におけるCa2+過負荷の生成と解消の両過程における細胞生理学的反応の解明に着手し、局所的なCa2+過負荷により異常興奮が発生する仕組みの理解に役立てた。加えて、光学システムによる複雑な光パターン制御を可能にするため、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の実装を行なった。 前年度に構築した光学システムを用いて心筋細胞層局所におけるCa2+過負荷の拡大に伴い異常興奮の発生率が増加することを実証したが、異常興奮の発生機序や蓄積したCa2+濃度が減衰する仕組みは不明であった。ケージドCa2+の光分解により蓄積されたCa2+の排出・回収経路に関与する複数の細胞機構を阻害して計測を行なったところ、特定の機構が異常興奮の発生とCa2+濃度の減衰に支配的に寄与する可能性が見出された。 またDMDによる光パターン制御機構の光学システムへの実装により、既存システムでは困難であった非対称な照射パターンの形成が可能となった。 当該年度に得られた研究成果は主に心臓や循環器に関する学会での発表を行い、若手奨励賞(YIA)の受賞などの実績も得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、分析対象を培養心筋細胞層から摘出心に移す予定であったが、心筋細胞層における局所的なCa2+過負荷が興奮伝導波の遅延のみならず異常興奮をも誘発する機序の探索と解釈に時間を要した。結果的には心筋細胞における特定の機構が異常興奮の発生ならびに蓄積したCa2+濃度の減衰に関与する可能性が見出され、局所的なCa2+過負荷が異常興奮様式を誘発する条件につき当初の想定以上に知見を深めることができた。 以上の状況を鑑み、進捗に大幅な遅れはないものの当初の計画からはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
培養心筋細胞を対象とした局所Ca2+過負荷と異常興奮様式の関係性に関する研究結果の論文発表を進める一方で、摘出心を対象とした分析および複雑な照射パターンを取り入れた分析にも着手する。 培養心筋細胞における局所Ca2+過負荷では興奮伝導の遅延のみならず異常興奮も発生することが実証されたが、摘出心を対象とした場合でも同様の現象が生じると予測される。そのため、興奮伝導の遅延に起因する不整脈と、異常興奮の発生に起因する不整脈とで場合分けした上でそれらの発生条件を探究する方策をとる。
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