研究課題/領域番号 |
22K18176
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
塚原 彰彦 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (40806030)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 確率共鳴現象 / FPGA / LVDS / 表面筋電位 / 生体信号 / AD変換器 / アナログフロントエンド |
研究開始時の研究の概要 |
筋電図や脳波など人体が発生する微弱な電気信号を計測し,利用することは有用である.このような微弱な生体信号の計測において,ノイズのある環境下でも高精度に多チャンネルで計測できる装置が望まれており,これを小型かつ低消費電力で実現する技術が求められている.本研究では,微弱な信号を時分割多重化した確率共鳴回路により検出し,検出した信号をΔΣAD変換によってディジタル信号に変換する,ディジタル回路に基づくアナログフロントエンド回路を構成し,生体信号の計測へ適用することを目指す.
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研究実績の概要 |
これまで設計した確率共鳴回路に用いているFPGA(Field programmable gate array)に搭載された低電圧差動入力バッファであるLVDS(Low voltage differential signaling)において,入力端子間の電位差が±10mV程度の場合,出力は入力端子間電位差に応じて発振し,パルス数の変化が見られた.すなわち,微小なアナログ信号の変化をディジタルのパルス信号として得られる可能性が示唆された.そこで2023年度は,このLVDS素子の微小信号における振る舞いを積極的に用いた方式を検討し,これまで外部からノイズを付加する方式を取っていたが,外部からノイズを付加することなく微小信号の検出が可能であることを実験的に確認した.振幅が1 mVの正弦波電圧を提案する回路に印加し,理想的な正弦波に対して,0.9以上の相関係数と決定係数の波形が得られた.また実験より,提案する回路の実効的な精度を見積もったところ,提案する回路は-10 mVから+5 mVの範囲ではあるが,通常の14ビット分解能のAD変換器に相当する結果が得られたと考えている.また,生体信号計測への応用として表面筋電図を計測し,計装アンプとUSBオシロスコープで得た波形と比較して,0.9以上の相関係数,0.85以上の決定係数,RMSEも0.1程度の波形が得られた.3人の被験者で,これらの項目は同程度であり,再現性のある結果が得られた考えられる. 今後も設計した回路を改良し,デルタシグマ変調技術を組み合わせた回路構成について検討を進める.また,デルタシグマ変調技術を組み合わせた場合の性能向上などについて,これまでの結果と比較を行い,実験的に検証する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度までに基本的な確率共鳴現象に基づく回路の設計・試作と生体信号計測への適用については,ほぼ完了している.本研究を進めていく中で,LVDS素子について当初予期していなかった微小信号における回路動作が見られ,この動作を積極的に利用した方式について検討を行った.そのため当初の目標である,確率共鳴回路とデルタシグマ変調技術を組み合わせる回路に関する検討がやや遅れている.現在,LVDSの上記の振る舞いに基づくデルタシグマ変調に関する検討を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
LVDS素子を用いたデルタシグマ変調技術を組み合わせた回路構成について検討を進める予定である.これまで設計した確率共鳴回路にて,1 mV程度の信号検出が可能であることが確かめられているが,デルタシグマ変調を適用することにより,さらに微小な信号検出が可能か,精度等の改善が可能かなどの性能改善に関する検討を行う.
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