研究課題/領域番号 |
22K18180
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
阿部 結奈 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (80881953)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 生体医工学 / 生体計測 / 皮膚科学 |
研究開始時の研究の概要 |
皮膚は生命維持に不可欠なインタフェース器官である.なかでも,最前線で生体を保護する表皮は,外部刺激に応答するインテリジェントな面に光が当たりつつある.他の生体組織と同様に,表皮もまたイオンのシグナルに基づくシステムを備えており,先行研究によって,皮膚への電気刺激が創傷やバリア機能不全などの損傷の治癒を促進できる可能性が示唆されている.申請者はこれまでに,表皮が生み出す電位差「表皮電位」に基づく皮膚機能モニタリングデバイスを開発した.本研究ではこれを手掛かりに,電気刺激による治療法の応用展開を探索し,皮膚の機能不全を治療する多機能デバイスの開発を目指す.
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研究実績の概要 |
皮膚は生体を保護する重要な生命維持器官である.その最前線に位置する表皮組織は,外部からの様々な刺激に応答し,その機能を調節していることが明らかになりつつある.また,表皮の恒常性維持には,イオン移動を介した電気的シグナルが関与しており,皮膚へ電気刺激を与えることによって創傷やバリア機能不全などの損傷の治癒を促進できる可能性が示唆されている.申請者はこれまで,表皮内部に発生する電位差「表皮電位」を皮膚機能の評価指標として利用するモニタリングデバイスの開発を進めてきた.本研究ではこれらの研究例に基づき,電気的な皮膚ヘルスケアを実現する多機能デバイスの開発を目指す. 本年度は,皮膚内部への低侵襲アクセス経路となる「マイクロニードル」(長さや直径等が1 mm以下程度の微細な針)を用いた計測デバイス開発に注力した.過去の研究において,申請者らは皮膚の目的組織にのみ電気的な接続を確立するため,多孔性の樹脂材料から製作したマイクロニードルに生体適合性高分子の薄膜コーティングを施し,簡便な絶縁パターニングを実現した.本研究では新たに,マイクロニードル表面にセンサ電極層等を追加し,活性酸素種やイオン等,皮内に存在する物質をピンポイントで定量評価することが可能となった.このニードルは,申請者が開発済みの表皮電位計測用パッチのようなウェアラブルデバイスに組み込むことが可能であり,皮膚機能のモニタリングへの応用が見込まれる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,多孔性マイクロニードルを基板として電気化学的計測のためのセンサ電極を開発し,これを用いて皮膚内部の化学種である活性酸素種(過酸化水素)とイオン(Na+)を低侵襲にセンシングすることに成功した.皮膚は光や化学物質などにさらされ,内部に酸化ストレスを生じる.また,表皮電位をはじめとする皮膚の電気的応答には,皮内のイオン輸送が大きく関与すると考えられる.これらの皮内物質の計測を行うことで,化学的な指標による多角的な皮膚機能評価が可能となると見込まれ,皮膚機能に関する研究はおおむね順調に進展していると考えられる.なお,関連成果は学術論文2報として発表済である.
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今後の研究の推進方策 |
皮膚モデルに電気的な刺激を与え,その効果の評価を試みる.刺激の最適条件については未確定の点が多いことから,通電様式やその大きさなどについて探索を行う.模擬的な皮膚損傷に対する治療の効果や安全性などについて検討する.また,将来的な治療応用を見越して,パッチ型デバイス等の簡便なシステムによる皮膚機能モニタリングを試みる.
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