研究課題/領域番号 |
22K18184
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下村 優 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教 (40908539)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | DNAゲル / 光制御 / DNAナノマシン / DNAハイドロゲル / ゲル / マニピュレーション / 粘性制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,DNAの架橋反応によって形成されるDNAゲルの粘性変化に伴う物体の運動変化に着目した, μmサイズ物体の移動操作・配置技術の構築をめざす.光パターン照射に応じたDNAゲルの構造収縮によって粘性勾配を作りだし,μmサイズ物体の運動方向・速度変化を制御と物体配置を実現する.
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研究実績の概要 |
本研究では,架橋反応により形成されるDNAゲルの粘性制御を用いた自律運動するumサイズ物体の運動および配置制御を目的とする.DNAゲルを構成するDNAの伸長・収縮を光信号により制御し,ゲル全体の形状を変調する.光照射に応じた形状変化によりDNAゲルの力学的性質である粘性を局所的に変化させることで,自律運動するumサイズ物体の移動速度・方向を制限し,物体の移動・位置を自在に制御可能な光制御システムを実現する. 本年度は,照射強度分布に応じてDNAゲルの形状および粘性が変化し,その状態変化を制御できるか検証した.実験において光照射条件に応じたDNAゲルの形状変化を確認した.一方,照射強度によっては設計したDNA反応に基づく形状変化とは異なる挙動を示し,DNA間で異なる反応プロセスが働いていることが明らかとなった.また,粘性変化の測定では,DNAゲル内に直径1umサイズのポリスチレンビーズを混ぜ込み,光照射の照射強度・照射時間に応じたブラウン運動の移動速度を測定した.照射強度が強いとき,設計したDNA反応とは反対方向に粘性が変化することが実験的に明らかとなった.さらに,照射の有無に応じて粘性が可逆的に変化することも確認した.本結果より光照射有無によるDNAゲルの粘性制御を実証した.しかし,想定した実験結果とは異なる挙動をDNAゲルが示した. 想定とは異なる挙動の原因追求のため, DNA設計を変更し,DNAゲル内で引き起こる反応プロセスを変えることで,光照射下におけるゲル内部の挙動解明を実施した.その結果,DNAのらせん構造に基づく構造変化によりDNAゲルの形状変化が誘起された可能性があることを明らかにした
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
設計したDNAゲルに対し光照射したところ,設計とは逆となる光照射に応じて膨張するDNAゲルが発見された.再現性も確認されたおりう,これまで想定している現象とは異なる新たな発見が見つかった.現在,その原因解析に注力している.遅れが生じているものの提案するシステムの方向性には支障はない.
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今後の研究の推進方策 |
設計とは異なるDNAゲルの挙動の原因を明らかにし,研究目的を達成するためのDNA設計を新たに実施する.所望の反応を示すDNAゲルを作製後,空間光変調器を用いた動的光照射パターンを活用し,ポリスチレンビーズの運動を制御可能なシステムを構築する.運動制御による配置制御を実現する.
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