研究課題/領域番号 |
22K18202
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
齋藤 菜緒 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所がん生物学部, 任期付研究員 (70931848)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | II 型子宮体癌 / モデル培養細胞株 / II型子宮体癌 / 発癌 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮体癌は、I型(類内膜癌)とII型(漿液性癌、明細胞癌など)に大別される。I型と比較してII型は予後不良であり再発高リスク疾患であるが、治療は区別なく同一の方法がとられている。腫瘍形成過程や遺伝子変異パターンが異なることから全く別の癌種であることが予想されるが、どの遺伝子変異が臨床的表現系の違いを生み出すのか不明である。本研究では、II型子宮体癌において高頻度で認められる遺伝子変異を有するマウス正常子宮内膜上皮細胞由来培養細胞株(II型子宮体癌モデル培養細胞株)の創出を目指し、その生物学的特性を解析することでII型子宮体癌の発癌や悪性化における標的遺伝子の関連性を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
II 型子宮体癌は、萎縮内膜から遺伝子変異の蓄積を経て悪性度の高い浸潤癌に至るとされている。代表的な組織型である漿液性癌とその初期病変である漿液性子宮内膜上皮内癌において、高頻度に認められる遺伝子変異は複数確認されているが、難治性希少癌であることから基礎研究に使える培養細胞株や動物モデルがないため、それらの発癌およびその悪性化に寄与する分子遺伝学的異常は十分には特徴づけられていない。そこで本研究では、マウス正常子宮内膜の上皮細胞をベースに複数の点変異導入を組み合わせて行うことによって、腫瘍形成初期段階における病態形成過程を再現するII型子宮体癌モデル培養細胞株を作成し、発癌および悪性化における遺伝子異常の関連性とその分子機序を明らかにすることを目的とする。 初年度は、マウス子宮内膜上皮細胞の採取と細胞作成条件の検討を実施した。子宮内膜上皮細胞の採取には、マウスから摘出した子宮をトリプシン処理および緩徐なボルテックスを繰り返すことによりシート状の上皮細胞群を得る方法を採用した。採取した細胞を用いて上皮マーカーおよび間質マーカーを免疫蛍光染色した結果、初回のボルテックスにより得られた細胞群において、上皮マーカー陽性細胞群を高収率で採取することに成功した。2 回目以降のボルテックスでは、上皮細胞の収率低下が認められたため、初回のボルテックス処理後の細胞群のみ、実験に採用することにした。現在、得られた上皮細胞群を用いて遺伝子導入効率を上げる条件検討を実施している。また、本研究の目的である点変異ゲノム編集には、CRISPR/Cas9システムを採用している。点変異のゲノム編集はノックアウトよりも確率が大きく低下することから、上記の遺伝子導入効率条件を確立する間にマウス線維芽細胞株であるMEFを用いて編集効率向上を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス正常子宮内膜上皮細胞を採取して初代細胞培養系を確立することができた。しかし、得られた上皮細胞への遺伝子導入効率や点変異導入効率はまだ低く、今後複数の点変異を重複して導入するにあたって改善の余地があるため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、細胞株作成の効率改善を行うとともに、作成に成功した細胞株から順次、細胞形態や増殖速度、浸潤能、腫瘍形成能など生物学的特性解析を実施する。それぞれ得られた情報をもとに各遺伝子の単独変異または多重変異による影響を評価し、発癌または悪性化特異的な遺伝子異常の関連性を調べる。
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