研究課題/領域番号 |
22K18207
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
荻原 利浩 信州大学, 医学部, 特任准教授 (40419354)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 頭蓋底腫瘍 / 経鼻内視鏡手術 / 医療用ロボット / 細径鉗子 / 下垂体 / 脳腫瘍 / ロボット手術 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の脳神経外科手術では、開頭術に代わり低侵襲で施行可能な神経内視鏡手術が普及しており、特に体表のどこにも切開を加えず鼻腔を介して頭蓋底腫瘍を摘出する経鼻内視鏡手術が進歩を遂げたが、難度の頭蓋底腫瘍を摘出する際に重篤な手術合併症発生率が10%以上との報告もある。本研究では、この高い合併症率の低下を目的とし、ワーキングチャネル内蔵型硬性内視鏡とそれに適合する細径デバイスを開発し、経鼻内視鏡手術の際に術者の2本の手に加え、3本目の手として細径デバイスを内視鏡チャネルから挿通し、リーダフォロワ制御するシステムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、高難易度経鼻内視鏡手術の合併症率低下を目的とし、ワーキングチャネル内蔵型硬性内視鏡とそれに適合する細径デバイスを開発し、経鼻内視鏡手術の際に術者の2本の手に加え、3本目の手として細径デバイスを内視鏡チャネルから挿通し、リーダフォロワ制御するシステムの構築を目指したものである。その実現のため本研究は、経鼻内視鏡手術に適応できるワーキンチャネル内蔵型硬性内視鏡を開発し、それに適合可能な超細径デバイスの開発を行うものである。 令和5年度は前年度に引き続き、経鼻内視鏡手術に適応できるワーキンチャネル内蔵型硬性内視鏡の開発に向け、信州大学学術研究・産学官連携推進機構の協力のもと様々な方向から検討を重ねた。その結果、現段階での新規にワーキンチャネル内蔵型硬性内視鏡を制作するのは、コスト、技術、ライセンスなどの課題をクリアするのは困難と判断したため、本研究期間には既存の硬性内視鏡に適合可能なワーキングチャネルが付属した独自の内視鏡シースを開発することとした。(株)シールボンドとタイアップし、シリコン素材の円柱に内視鏡スコープ孔(4mm)、超最小鉗子孔(2mm)、レンズ洗浄孔(1.5mm)を設けた独自のシースを設計した。現在は、その試作品を作成し、これらを臨床応用につなげるべく、実際の硬性内視鏡に連結しその有用性を評価している。また、信州大学繊維学部の協力のもと、ナイロン繊維を用いた超細径軟性デバイスの作成に取り組んだ。しかしながら、デバイスの先端形状を鉗子と想定した際、その剛性が課題となったため、動物用に開発された直径2㎜の超細径鉗子を参考にしながら、既存の細径鉗子を適用する可能性も念頭に置きつつ、慎重に開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
信州大学学術研究・産学官連携推進機構の協力のもと、医工連携で研究を遂行しているが、その際の共同研究を行う企業の決定までに時間を要したため、内視鏡シースや細径鉗子の試作品の完成が遅れている。また、研究代表者の勤務先の異動に伴い、診療や教育に関する予想外のエフォートが増え,研究にあてる時間が減少していることも,進捗の遅れの原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は内視鏡シースを完成させ、3Dシミュレーションを使って試作品が臨床使用可能かどうか検証する。実験では、デバイスが経鼻内視鏡手術においてワーキングチャネルから3本目の手として手術操作に加わる際の術者の手との協調性、鼻腔内での器具どうしの干渉の程度、硬性内視鏡の位置の制限などを評価し、データ収集、解析を行う。試作品の課題が明確になったら、それを解決するために内視鏡シースの改良を行い、さらには本シースに適応可能な超細径鉗子の設計および製作を行う。最終的なツールが完成したら、倫理委員会申請を行い、臨床使用を進めるうえで、器具の改良、評価を行いその有効性を証明する。ここまでの研究成果の学会発表を行い、議論を深め論文作成に繋げる。
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