研究課題/領域番号 |
22K18219
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
宗像 理紗 帝京大学, 薬学部, 助教 (90879694)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | がん免疫療法 / 超音波 / マイクロバブル / CpG / DDS / がん免疫 / 核酸 / デリバリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では超音波応答性のマイクロバブルを用いてがん細胞を傷害し、がん関連抗原の提示を促すことで細胞傷害性 T 細胞によるがん細胞の認識増強を試みる。さらに、マイクロバブルに免疫賦活化核酸(CpG 核酸)を搭載し、腫瘍内にこの CpG 核酸をデリバリーすることで、腫瘍内の免疫微小環境を変化させ、細胞傷害性 T 細胞の活性化・腫瘍組織への浸潤促進を試みる。本研究では、細胞傷害性 T 細胞によるがん細胞の認識促進と、腫瘍組織内への浸潤増加の双方にアプローチすることで、がん免疫療法抵抗性のがんを克服する新規マイクロバブル製剤を開発する。
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研究実績の概要 |
免疫抑制的な腫瘍微小環境を構築する腫瘍 (Cold tumor) は、免疫チェックポイント阻害剤などによる治療に抵抗性を示すため、この腫瘍を抗腫瘍的な環境に転換するさまざまな併用療法の開発が試みられている。本研究では、マイクロバブルが超音波照射された際に生じるエネルギーを利用することで、腫瘍組織を傷害し、がん関連抗原の放出などに伴う免疫応答を誘導することで、Cold tumor の腫瘍内微小環境の転換を試みる。 今年度は、Cold tumor に対して、マイクロバブルと超音波の治療による腫瘍内微小環境の変化を評価した。担がんマウスに対し、マイクロバブルを静脈内投与後、ただちに腫瘍へ超音波を照射した。この腫瘍を回収し、腫瘍内の免疫細胞についてフローサイトメトリーにて解析した。その結果、この治療によって抗腫瘍免疫の主要な抗原提示細胞である樹状細胞の浸潤数が増加していることが明らかとなった。このことから、本治療によって腫瘍組織が傷害され、腫瘍内免疫微小環境が抗腫瘍的な環境に変化したと推察された。そこでこの治療に、CpG 核酸搭載脂質ナノ粒子による治療を併用したところ抗腫瘍効果が認められた。この併用治療において、腫瘍内の免疫微小環境をフローサイトメトリーで評価したところ、腫瘍内における活性化 CD8 陽性 T 細胞の浸潤が増加していた。このことから、マイクロバブルと超音波による治療と免疫賦活化剤である CpG 核酸の併用が、Cold tumor に対して効果的な抗腫瘍免疫を誘導することを見出した。本研究成果より、マイクロバブルに免疫賦活化剤である CpG 核酸を搭載することで、Cold tumor に対する新たながん免疫療法治療薬となると期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロバブルと超音波による治療を CpG 核酸搭載脂質ナノ粒子と併用することで、免疫療法抵抗性のがんに対して高い抗腫瘍効果を発揮することを見出した。このことから、マイクロバブルに CpG 核酸を搭載することで、CpG 核酸の腫瘍局所での応答による治療効果の増強が期待できる知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はマイクロバブルと超音波による治療と免疫賦活化剤である CpG 核酸の併用が免疫療法抵抗性がんに対し高い抗腫瘍効果が得られることを見出した。次年度は、このマイクロバブルに免疫賦活化剤を修飾した新規マイクロバブル製剤の作製を試みる。CpG 核酸をはじめとする各種免疫賦活化分子をマイクロバブルに搭載し、物性評価を行う。
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