研究課題/領域番号 |
22K18227
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
坂部 名奈子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (90907809)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 微粒子標識抗体染色 / 免疫組織化学 / 膜抗原 / 非特異反応 / ワンステップ法 / ツーステップ法 |
研究開始時の研究の概要 |
侵襲性の少ない細胞診検査において、形態像の観察から良悪性を判定するには経験による能力に頼ることが多く、判定に苦慮する際には着色の有無で確認できる酵素抗体法を用いた免疫組織化学が施行される。免疫組織化学は医療や研究分野で必要不可欠な技法であるが、操作が煩雑で時間を要する。また、非特異反応や発色過程での問題点も存在する。本研究では、様々な大きさ・色彩・素材など多岐にわたる性質を持つ微粒子を使用し、発色過程のいらない免疫組織化学の新技法「微粒子標識抗体染色」の確立を目指し、迅速かつ経験・能力に頼らない正確な診断に繋がる試薬を開発する。
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研究実績の概要 |
形態像の観察から良悪性を判定する細胞診は侵襲性の少ない検査であるものの、判定するには経験による能力・知識に頼ることが多い。細胞診でも行われている免疫組織化学・酵素抗体法は、診断補助として広く用いられており、現在では必要不可欠となっている。しかし、免疫組織化学は操作が煩雑で時間を要し、非特異反応や発色過程での問題も存在する。本研究では、これらの問題を回避した免疫組織化学の新技法を確立するために、様々な大きさ・色彩などの微粒子を使用した微粒子標識抗体の作製を目的としている。 本年度は免疫組織化学で膜抗原の発現が確認された市販の細胞株を使用して単染色による検討を進めた。多くの上皮細胞が保有している上皮膜抗原・クローンBer-EP4の使用を候補に挙げたが、抗体濃度に問題が生じ、別クローンの抗体を選定して遂行している。2色の微粒子を用いて、化学的または物理的に反応させて作製した微粒子標識抗体を使用した結果、細胞に微粒子標識抗体が結合するのを確認できた。しかし、細胞に結合した微粒子標識抗体量が少なかったため、微弱な判定結果となった。感度を上げるために、物理的吸着におけるpH設定の変更を試みたが、反応性に大きな差は認められなかった。当初予定していたワンステップ法からツーステップ法へと変更し、新たに微粒子標識2次抗体の作製を行った。その結果、ワンステップ法より強い反応を確認することができたものの、非特異反応の問題が発生した。現在は、この反応を回避するため、細胞と微粒子標識抗体の反応条件(反応時間・濃度・ブロッキング剤)を検討し、最適な条件を探索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1次抗体に微粒子を標識したワンステップ法で実施してきたが、検討を進めた条件では目視で陽性と判定できるほどの反応性が認められなかったため、微粒子標識2次抗体を作製し反応性を検討した。その結果、ワンステップ法よりも強い反応が確認されたものの、非特異反応の問題が生じ、この反応を除去する検討に時間を要し、次の段階に進めていない。非特異反応の問題が生じているが、細胞と微粒子標識抗体が精度高く反応した細胞像が確認できているため、現在生じている問題を回避することにより、当初の予定通り研究遂行できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
非特異反応除去の検討のために細胞と微粒子標識抗体の反応条件(時間・濃度・ブロッキング剤)の検討を行う。また、使用している微粒子や、標識している抗体を変更することで反応性に変化があるのかを確認し、継続して最適な微粒子標識抗体を探索する予定である。当初予定している免疫多重染色(例えば赤は悪性、青は良性のような)を確立するために、複数の抗原性を同一標本上で観察する検討も進めていく。
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