研究課題/領域番号 |
22K18231
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
広田 雅和 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (40835435)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 眼球運動 / 斜視 / アイトラッカー / 人工知能 / 両眼視 / 機械学習 / 眼科学 |
研究開始時の研究の概要 |
眼球運動は加齢に伴い発症率が増加し,80歳以上では50%以上の人が罹患している身近な疾患です.しかし,眼科臨床現場における眼球運動検査は,検者が目視で正常と異常を区別しているため,疾患の見逃しが起こり得ます.本研究では,眼球運動を他覚的定量評価できるアイトラッカーと人工知能技術を融合させることで,眼球運動の異常を検出し,疾患を判定するアプリケーションを創出します.
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研究実績の概要 |
本研究では,近赤外光を両眼に照射することで非侵襲的に両眼の眼球運動を測定できるアイトラッカー (VOG) と人工知能 (AI) 技術を融合することで,従来機では水平および垂直方向のみの眼球運動 (むき運動) を計測していた VOG に,奥行き方向 (輻湊開散運動) の計測も実現し,現実空間における水平・垂直・奥行き方向の三次元的な眼球運動を計測するシステムを開発する.その後,眼球運動の各成分から障害部位や疾患を推定する AI を開発し,診断および治療に役立てることを目的としている. 2023度は,物体検出AIに学習させた視標のバウンディングボックスサイズから距離情報を推定する AI を開発した.VOG で計測したデータ,物体検出 AI で取得した視標の位置データ (水平および垂直),距離情報推定 AI で取得した視標の奥行きデータの三情報を出力するシステムの開発に成功した.距離情報の推定精度は視標の奥行き位置を 50 cm から 30 cm まで移動させたとき,95% を超えていた.一方で,視標をリニアに動かしていない 5.0 m から 50 cm の間は,バウンディングボックスのサイズを線形補完して内挿したため,予測精度は90%を切っていた.眼科外来で実用化を目指すのであれば,5.0 m から 30 cm の距離情報は 95% 以上の精度を担保したいため,最終年度は間欠性外斜視患者のデータを取得しつつ,AI の精度向上を目指す. 本研究に付随する研究成果として,次世代ディスプレイであるライトフィールドディスプレイを視聴したときの眼球運動計測を行い,従来のディスプレイを使用したときと眼疲労の程度がどの程度異なるかを検証した.その結果,ライトフィールドディスプレイは,従来のディスプレイと同程度の眼疲労であり,立体ディスプレイよりも眼疲労の程度が有意に少ないことが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023 年度の進捗状況は,研究計画通り順調に進展していると考えている.その理由として,昨年度の課題であった機器の連携を順調にクリアし,眼球運動を三次元的に計測するシステムを稼働することに成功したことが挙げられる.最終年度に予定している患者データを集積する事で,本研究課題は完遂できる.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,健常者データと眼球運動障害患者のデータを取得し,輻湊・開散運動における両者の差異を明らかにするとともに,異常な眼球運動が検出された場合,アラートを入れるシステムを開発する.
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