研究課題/領域番号 |
22K18241
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
小出 卓哉 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 特任講師 (00882557)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 立ち上がり動作 / 平行リンク機構 / 大腿直筋 / 体幹重心 / 膝一関節伸筋 / 重心位置 / 膝伸展トルク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は健康寿命延伸のために日常動作を可能とする筋の機能を解明し,臨床現場やリハビリテーション工学分野に応用する研究である. ここでは,日常生活の質に最も影響を与える立ち上がり動作時に活動する大腿直筋の特異な筋活動に着目し,その特異な筋活動によって生じる運動機能をヒト下肢の筋配列から構築した機械モデルによる理論的解析と実験的解析からヒト立ち上がり動作時における大腿直筋の機構特性を明らかにする. さらに,立ち上がり補助具などに大腿直筋の機構特性の利用し,健康寿命延伸の新たな手法としての二関節筋の機能の利用を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究はヒトの立ち上がり動作時の筋活動によって生じる下肢大腿部の二関節筋の機構特性を明らかにする事を試みた.体幹を鉛直上に規制しない立ち上がり動作,すなわち,通常の立ち上がり動作における動作筋電図学的解析により主働筋を明らかにし,下肢の筋配列を基準にしたリンクモデルによる理論的解析,さらに,その機能を再現した実機モデルによる理論的解析を行った. 動作筋電図学的解析によって,この動作の主働筋が膝関節の一関節伸筋と大腿部前面の二関節筋である大腿直筋の2筋である事が明らかになった.また,モデルによる理論解析により,立ち上がり動作時の体幹を支えるための筋収縮力に膝関節の一関節伸筋は大きく貢献するが,大腿部前面の二関節筋である大腿直筋は関与しない事が明らかになった. そこで,重心方向に床反力を向ける二関節筋の機能である平行リンク機能に着目し,大腿直筋を平行リンクとしたモデルを試作し,立ち上がり動作時の床反力の変化と立ち上がり動作の姿勢変化を計測した.その結果,大腿直筋に相当するワイヤが慣性力によって倒れる体幹を引き止め,さらに,平行リンク化する事により,足関節に発生する床反力を常に重心方向へ調整している事がわかった. 従来から定義されているヒトの立ち上がり動作の主働筋,すなわち,膝関節の一関節伸筋と股関節の一関節伸展筋による伸展トルクではなく,膝関節の一関節伸筋による膝関節の伸展トルクと,倒れようとする体幹の慣性力を平行リンクとなった大腿直筋が保持している機能により,股関節の伸展トルクが発生したように見える作用となる事が明らかになった. このため,従来から述べられている股関節の一関節伸筋の作用がなくても立ち上がり動作が可能であると事が明らかになった.これより,大腿直筋の平行リンク機能は膝関節の一関節伸筋のみの駆動力で,立ち上がり動作を可能にする機構特性を有している事が提示できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,立ち上がり動作時の大腿部前面の二関節筋である大腿直筋の筋活動を解明することを目的として,動作筋電図学的解析をおこなった.実験1では下肢に疾患歴がない健常男子大学生を対象とした. 2023年度は健常男子大学生15名を対象に大腿直筋の筋活動を詳細に調査をおこなった.以下はその研究内容である. 研究対象者は下肢に疾患歴がない健常男子大学生15名で,計測項目は立ち上がり動作中の姿勢変化、筋活動、床反力、体幹加速度です。姿勢変化はスマートフォン内蔵カメラと電気ゴニオメータを用いて計測し、筋活動はEMG計測システムで、床反力の変化はフォースプレートで測定しました。 実験では、60bpmのメトロノームに合わせて、1拍(1秒)、2拍(2秒)、4拍(4秒)の3つの速度条件で立ち上がり動作を行わせました。実験前には練習を行い、規定の時間で正確に立ち上がれるようになった段階で本実験を実施しました。 実験結果の動作筋電図学的解析により、従来考えられていた股関節の一関節伸筋の作用がなくても、立ち上がり動作が可能であることが明らかになりました。大腿直筋の平行リンク機能が、膝関節の一関節伸筋のみによる駆動力で立ち上がり動作を実現できる特性を持つことが示されました。 また、この実験データを基にした論文は、2024年度に掲載予定である.
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今後の研究の推進方策 |
ヒトの立ち上がり動作を明らかにするためには健常者と高齢者の立ち上がり動作の違いを明らかにすることが重要である.この違いを明らかにするために,高齢者の動作を筋電図学的に解析する必要がある. 実験は高齢者の立ち上がり時の主働筋を解明することを目的とする.研究対象者は介護老人保健施設を利用する高齢者15名とする.研究対象者の安全を最優先とし,本人,家族,介護老人保健施設に常駐している医師,または研究対象者に係る医療従事者が中止と判断した場合は,即時中止とする.また,実験開始前の実験説明および実験参加についての同意確認時に,介護老人保健施設に常駐している医師,または研究対象者に係る医療従事者による体調についての問診をおこなうこととする.また,実験中は常に医療従事者が立ち会い,安全に配慮した環境で実験をおこなう.対象者には実験の内容と目的を十分に説明し,同意を得た上で実験を進める. 実験で得られたデータは立ち上がり動作時における主働筋の活動を詳細に分析し,高齢者の特性を明らかにするためにもちいる.これにより,高齢者がどの筋肉をどのように使って立ち上がっているのかを明らかにする.この結果を基に,立ち上がり動作を支援するための補助具の開発やトレーニング方法の提案を目指す.例えば,特定の筋肉を強化するトレーニングプログラムや立ち上がり動作を補助する器具の設計などを考えている. さらに,得られたデータを基に学会発表や論文投稿をおこない,研究成果を広く共有する予定である.この研究が高齢者の自立支援や介護負担の軽減に貢献すると考えている.
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