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NanoSuit法を用いた自立薄膜形成と防菌防黴機能付加の新文化財科学の創成

研究課題

研究課題/領域番号 22K18250
研究種目

挑戦的研究(開拓)

配分区分基金
審査区分 中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
研究機関浜松医科大学

研究代表者

針山 孝彦  浜松医科大学, 光医学総合研究所, 特命研究教授 (30165039)

研究分担者 高久 康春  東京農業大学, 農学部, 教授 (60378700)
妹尾 千代  浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特任研究員 (60890960)
河崎 秀陽  浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 准教授 (90397381)
研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円)
2026年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
キーワード文化財保護 / NanoSuit法 / 自立薄膜 / 防菌防黴 / プラズマ
研究開始時の研究の概要

人類にとって貴重な文化財の保存と修復に関して、世界的に研究が進められている。われわれは、ガスや水分などのバリア機能と、導電性機能をもつ薄膜を、基材表面に沿って密着させて形成させたり、自立薄膜として単離し基材表面に付与したりすることもできるNanoSuit薄膜技術を改良し、1.文化財として発掘されるタマムシなどの昆虫の保存・修復技術の確立。2.紙などで作られた文化財をカビなどによる変色から表面を保護する技術の確立に挑戦する。

研究実績の概要

人類にとって貴重な文化財の保存と修復に関して、日本だけでなく世界的に研究が進められている。われわれは、ガスや水分などのバリア機能と、導電性機能をもつ薄膜を、基材表面に沿って密着させて形成させたり、自立薄膜として単離し基材表面に付与したりすることもできるNanoSuit薄膜技術を改良し、新しい文化財保護法の確立を目指す。
これまでの研究開発によるNanoSuit法による成膜技術の特徴として、1.凸凹した試料や基材表面に添った薄膜作成可能、2.水分やガスのバリア機能付与、3.自立膜作製可能、4.滅菌性や導電性が高いなどの特徴のある薬品を用いることも可能、5.膜厚コントロール可能、6.薄膜の厚さや薬品の屈折率をコントロールすることで、透明にしたり光学干渉により色を付けたり、などの膜の光学的特性調整可能、7.膜に導電性を持たせることができるので、静電気による塵の誘引などから基材を防御可能、8.NanoSuit法を作成する際に用いるプラズマあるいは電子線照射によって溶液を成膜する際に基材表面に付着した菌や黴などを死滅させ、成膜したNanoSuit膜は菌や黴を内部に通すことがない、などが挙げられる。
これらの特徴を最大限利用できるように、1.文化財として発掘されるタマムシなどの昆虫の保存・修復技術の確立、2.紙などで作られた文化財をカビなどによる変色から表面を保護する技術の確立のために、それぞれの基質の特徴を解析するとともに、それぞれの基質にNanoSuit薄膜技術を適用できる工夫に努め、新規な文化財保護技術開発としてのNanoSuit技術を最適化することを目的として研究を開始し、文化財のタマムシの研究ではメラニン層の役割が分かりはじめ、紙の保存に関する研究では、NanoSuit法で紙を走査型電子顕微鏡観察できるようにし、プラズマ照射による紙の改質が行われることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.韓国において文化財として発掘されたタマムシの小片を入手することができた。反射スペクトル測定を実施すると、保存状態から空気中に曝すことで、黒化が起こり、その反射率は低減し、スペクトル分布も不明瞭になることがわかった。また、前年度確認できたメラニン層が、鞘翅の赤いストライプと緑の部分とで、層の数と、層間の幅に差があることがわかった。
2.折り紙の色の変化を継続測定・解析し、染料(塗料)とNanoSuit大気圧プラズマ照射処理をしたものの違いを明瞭にした。窓辺に一ヶ月ほど放置した色紙の内、青色色紙の変色の差が大きく、反射スペクトル測定による退色の差も顕著であった。
紙などで作られた文化財をカビなどによる変色から表面を保護する技術の確立のために、紙をNanoSuit法で観察できる技術を確立した。NanoSuit溶液処理し、大気圧プラズマ照射処理あるいは直接走査型電子顕微鏡で観察したものの間で差はなかった。NanoSuit溶液を塗布して直ぐに走査型電子顕微鏡観察することで、実験を進められることがわかった。また、紙の切断面を観察するための治具を開発し、簡便にかつ安定的に観察可能とした。接触角測定により、プラズマ照射時間の差によって接触角が異なることを確認した。筆を用いた質感の変化をとらえる実験も実施し、処理したものと無処理のものの違いを確認した。
また、カビと紙との関係の実験を開始するためのカビの選定実験を実施した。
イタリア・フィレンツェ大学の文化財保護を推進している理学部細菌学教室との連携を継続的に深めている。

今後の研究の推進方策

1.文化財として発掘されるタマムシの黒化現象の解明の為に、透過型電子顕微鏡での観察を実施する。そのために、発掘されたタマムシの構造観察および反射スペクトル測定を定量化する。
2.折り紙の色の変化を継続測定・解析し、染料(塗料)とNanoSuit大気圧プラズマ照射処理、および真空プラズマ照射処理をしたものの違いを明らかにする。
紙などで作られた文化財をカビなどによる変色から表面を保護する技術の確立のために、それぞれの基質の特徴を走査型電子顕微鏡解析する。紙としてのテクスチャの違いを明らかにするために、筆を用いた質感の変化を、定量的に解析できる方法を確立する。
3.紙などの基質とカビなどとの関係を明らかにする実験を実施する。
国際連携のために、イタリア・フィレンツェ大学の文化財保護を推進している研究室との連携を深めていく。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 審査結果の所見   実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] フィレンツェ大学(イタリア)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] フィレンツェ大学(イタリア)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] The use of polarized light in the zonal orientation of the sandhopper Talitrus saltator (Montagu)2023

    • 著者名/発表者名
      Ugolini Alberto、Hariyama Takahiko、Wilcockson David C.、Mercatelli Luca
    • 雑誌名

      Zoological Letters

      巻: 9 号: 1 ページ: 1-7

    • DOI

      10.1186/s40851-023-00207-8

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] NEW FINDINGS ON OMMATIDIA SHAPE AND INTER OMMATIDIA SPACE OF Talitrus saltator (MONTAGU)2023

    • 著者名/発表者名
      Takahiko Hariyama, Luca Mercatelli, David Jafrancesco, Annamaria Nistri, Alberto Ugolini
    • 学会等名
      82° Congresso Nazionale dell’ Unione Zoologica Italiana
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] THE POLARIZATION GRADIENT OF THE SKY AND THE ORIENTATION OF THE YOUNG SANDHOPPERS2023

    • 著者名/発表者名
      Alberto Ugolini, Takahiko Hariyama, Luca Mercatelli
    • 学会等名
      82° Congresso Nazionale dell’ Unione Zoologica Italiana
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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