研究課題/領域番号 |
22K18254
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
矢野 桂司 立命館大学, 文学部, 教授 (30210305)
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研究分担者 |
鎌田 遼 立命館大学, 文学部, 授業担当講師 (80938811)
花岡 和聖 立命館大学, 文学部, 准教授 (90454511)
塩出 徳成 立命館大学, 文学部, 教授 (20939483)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2026年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | デジタル・ヒューマニティーズ / 歴史GIS / 空間人文学 / 古地図 / 景観復原 / 大英図書館 / 地名 / 地名辞書 / GIS / 住所データ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、過去の歴史的な呼称から現在の地名や住所に至るまで、日本各地の地理空間情報を検索するとともに、経緯度を特定して地図表現できるインタラクティブな地名辞書(Gazetteer)である「GIS地名辞書」を開発することにある。人文・社会科学で用いられる地域統計や史資料の中には、時代による呼称の移り変わりに加えて、空間的な位置を示す地理空間情報である地名や住所が含まれていることが多い。地名や住所で場所を特定し、過去にその地点で生じた様々な現象を地図上に可視化することで、それらの空間的位置関係を明らかにし、他の地図と重ね合わせることで、新たな知の発見を創造する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、「GIS地名辞書」を開発することにあるが、そのために計画に挙げたように、2023年度は以下の研究テーマを実施した。 (a)既存のGISベースの「GIS地名辞書」として、農地ナビの住所、2023年に公開された「法務省登記所備付地図データ」のGISデータなどを地名辞書に追加した。これらの地名辞書をジオコーダとして運用できるように、東京大学CSIS「CSVアドレスマッチングサービス」で用いられている、ジオコーダDAMS(Distributed Address Matching System)に搭載できるよう改良を行っている。(b)紙地図の地名からの「GIS地名辞書」の開発として、MapKuratorを用いて、実験的に行っている。対象としては、Stanford大学の外邦図を対象として行っているが、日本語識別のAI能力に問題があることから、テキサス大学の5万分の1地形図のローマ字化された地形図の適用を検討している。(c)海外、特に、英国における地名のオープンデータを調査し、OSが、1831年の国勢調査以降の英国地名索引データベース (Index of Place Names in Great Britain)をデータベース化しており、それら地名辞書の作成が可能なことが分かった。 本研究の成果の一部は、2023年8月に南アフリカ・ケープタウンでの国際地図学会議で発表し、関連研究者との意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、継続的に、地名に関する以下の5つの研究テーマを継続的に展開した。 1)日本の地名に関するジオコーダーに関しては、京都市の「法務省登記所備付地図データ」のGISデータから地番に含まれる住所データに利用可能性を検討した。2)京都に関する「ジオどす」のAPI、Yahoo!地図のAPIを取得し、簡易的なジオコーダーをスプレッドシートで開発した。3)紙地図のMapKulatorの開発に関しては、開発環境の整備を継続的に行い、日本語のOCRの取り込みを行っている。4)MapKulatorの対象とする紙地図としては、Stanford大学のGihozu(戦前の5万分の1地形図)、テキサス大学のCIA作成地図(1944年から戦前にかけて作成)を対象とするために、その整備を行っている。5)様々な写真データベースの地名からのジオコーディングを実施した。具体的には、関東大震災の写真や絵葉書、谷岡武雄写真データベース、占領期京都の接収施設などの地名や住所データに対して、複数の商業ベースのジオコーダーなどを用いた。過去の地名や海外のカタカナ地名、英語地名、現地語地名などの揺らぎを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、過去の地名、特に、小字名の位置情報を、既存のオープンデータから特定できるかを検討している。「法務省登記所備付地図データ」や「農地ナビ」の住所名には、国勢調査の小地域統計の町丁・字等よりも下位の地名の抽出を試みている。 また、MapKulatorに関しては、ローマ字地名に関しては、一定の地名抽出に成功しているが、漢字地名に関して、未だ十分な精度を得られていない。ミネソタ大学の研究グループとの連携をさらに強化して、この課題に取り組みたい。さらに、MapKulatorの精度検証に向けて、既存の旧版地形図やCIA地図のジオコーダーの整備を継続的に実施する。 地方自治体における新しい地名の命名とその後の制度化に関して、京都周辺の地方自治体や自治省などへのヒアリングを実施したが、それを継続させる。
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