研究課題/領域番号 |
22K18274
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三石 郁之 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (90725863)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
24,180千円 (直接経費: 18,600千円、間接経費: 5,580千円)
2024年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2022年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | グラフェン / 自立膜 / 宇宙 / 超高圧電子顕微鏡 / 試料支持材 / 金属ナノ粒子 / X線 / 紫外線 / 原子状酸素 / X 線 / 光学素子 / 飛翔体 / 分析科学 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙から飛来する紫外線・X 線は、地上では想像もできない極限環境下で起こる高エネルギー現象を我々に伝えてくれる。また紫外線・X 線は非破壊分析ツールとして分析科学分野にて確固たる地位を築いている。しかしながらこれらの観察に欠かせない薄膜光学素子には改善の余地が残されている。本研究は、【紫外線】【X 線】【超薄膜グラフェン】【機械強度】というキーワードに着目し、宇宙・地上機器への搭載を通し、地球・宇宙物理学から医学・生物・化学・分析科学分野等を含めた様々な学術領域における研究課題への取り組みに貢献することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、【紫外線】【X 線】【超薄膜グラフェン】【機械強度】というキーワードに着目した、汎用フィルターの設計・製作・評価という共通基盤技術の確立・実証までを世界に先駆け完遂し、宇宙・地上機器への搭載を通し、地球・宇宙物理学から医学・生物・化学・分析科学分野等を含めた様々な学術領域における研究課題への取り組みに貢献することである。 本年度は、(1) 高感度素子の実現に向けた大口径自立膜の製作、(2) 超高圧電子顕微鏡用の試料支持材への実装、に成功した。(1) については、自立膜製作工程の条件だしを行い、独自の製作工程を構築することで 2 層グラフェンにて直径 800 um の大口径自立膜の実現に成功した。この製作工程の一部は特許として出願した (特願2023-88993 三石他)。(2) については、名古屋大学が保有する超高圧電子顕微鏡施設と協力し、我々が自作した 2 層グラフェン自立膜 (厚み 0.6 nm) を試料支持材として実装することを試みた。まず我々は所有するスパッタ装置にてプラチナおよび銅をグラフェン支持膜および既存の支持膜 (厚み 10-20 nm 程度) 上に成膜した。このとき、成膜時間等を変えることにより複数の厚みパターンの試料を準備し、観察を行った。結果、非常に薄く小さなナノ微粒子に対し、その透過画像のコントラストが大きく向上していることが確認できた。これにより、地上装置への実装応用例として期待される効果を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も順調に基礎開発を進め、成果をあげている。本年度も引き続き宇宙・地上機器への搭載に向けた高感度素子の実現に向けた条件だしが進み、さらなる大口径化に成功した。またその一部は特許出願がなされた。また特筆すべきは、地上装置への実装例として超高圧電子顕微鏡用試料支持材への応用を試みた点である。我々はグラフェン支持材の製作のみならず、その有用性を調べるため、我々自身でプラチナ・銅ターゲットを用いて様々な条件にて成膜し、厚みの異なる既存の支持材を用いた場合の透過画像のコントラストを比較した。結果、非常に薄く小さな金属ナノ微粒子に対し高コントラスト化を確認することができ、地上装置への実装に向けた大きな一歩となった。
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今後の研究の推進方策 |
宇宙・地上機器への搭載検討を引き続き進める。まず、両者の共通基盤技術とも言える、大口径自立膜サンプルの実現に向けた条件だしを進め、直径 1 mm 超えのサンプル製作を目指す。新たなノウハウが得られた場合、特許化を検討する。また宇宙応用では、より実践的な自立膜構造に対する高速原子状酸素照射試験を実施し、各照射量についての歩留まりを評価する。加えて、静加圧試験による実際の耐圧性の口径サイズ依存性についても定量的に調査していく。地上機器への実装に向けては、金属ナノ粒子に対する有用性を確認することができたため、有機・無機物質に対しても同様に調査していく。
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