研究課題/領域番号 |
22K18281
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
荒川 政彦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10222738)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | コンドリュール / マグマオーシャン / 分化溶融微惑星 / 天体衝突 / 水星核 |
研究開始時の研究の概要 |
惑星科学の中で多くの研究者が関心を寄せる問題として、コンドリュールの起源と水星の巨大鉄コア問題がある。本研究は、まったく関連のないと思われてきたこの2つの難問が、地球型惑星領域に存在した分化溶融微惑星の衝突過程で繋がっているという新しい仮説を提案している。分化溶融微惑星は、マグマオーシャンに覆われており、そこへの小天体の斜め衝突は、岩石と鉄を効率的に分別する可能性が高い。さらに、衝突時に発生するマグマのエジェクタカーテンは、コンドリュールを形成する可能性がある。これらの結果に基づいて、水星の巨大鉄コアとコンドルリュールの起源を同時に説明する新しい仮説を提案する。
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研究実績の概要 |
本年は、当初、岩石・金属溶融装置を開発するために高周波誘導加熱炉を導入する予定であったが、初年度の実験計画を見直すことで、まず、斜め衝突用実験装置を導入した。微惑星同士の衝突は、ほとんどが斜め衝突であるため、マグマオーシャン上のクレーター形成実験も斜め衝突で実施する必要がある。そこで45°±45°での衝突を可能とする斜め衝突用火薬銃を設計・製作することにした。 銃身は、設置角度を可動とするため比較的銃身が短くてすむ一段式火薬ガス銃とした。銃口は直径7mmとし、ライフルを切ることでサボにより直径1mmから3mmの弾丸を射出可能とした。なお、設計射出速度は100m/s-2km/sである。衝突実験用の真空チャンバーは、大型の試料の設置とチャンバー内部での作業性を考慮して直径80cmの大型のものとした。また、上下左右から高速カメラで観測できるように観測用窓を配置した。特に側面には直径50cm以上の大型窓を設置して複数台の高速カメラによる同期観測により、エジェクタの3D速度解析を可能とした。そしてチャンバー内部で高周波誘導加熱炉により加熱を実施するため、大容量電源導入端子と冷却水循環用のフランジを用意した。さらに星雲ガスの相互作用を調べるために 1~1000Pa で雰囲気圧力を制御する予定である。 本年は既存の高速カメラに加えてさらにもう一台同等品を購入して、それらの同期撮影によりエジェクタの3D速度解析手法の確立を行った。さらに、高周波誘導加熱炉により加熱される試料の初期温度分布と放出時の冷却過程を計測するために高速赤外カメラを導入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するために4項目の課題を実施する予定であった。初年度と二年度は(1)岩石・金属溶融装置の開発と(2)斜め衝突用実験装置の導入を中心に実施することにしていた。三年度と四年度には(3)マグマ上への斜め衝突実験の実施、(4)鉄・岩石分別作用とコンドリュール形成モデルの構築を予定している。当初の予定では(1)から実施予定であったが、高周波誘導加熱炉を設置する衝突実験装置を先に導入した方が良いと判断して、先に斜め衝突用実験装置の設計・製作を実施した。この斜め衝突用実験装置の製作は年度内に完了しており、来年度には試運転を行う予定である。すなわち、本年度内で(2)の課題はほぼ完了しており、研究の進捗状況は予定通りと言える。なお、この研究は研究代表者と2名の大学院生(研究協力者)で実施する予定であったが、本年度は装置製作が主であったので学生の雇用は行わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、当初の予定では初年度に実施することになっていた高周波誘導加熱炉の導入を行う。同時に新規に導入した斜め衝突装置の立ち上げと周辺の観測装置を整備していく。D3学生を学生研究支援員として雇用して、これらの新規技術の開発や実験環境の整備を行う。実験装置群の整備が終わり次第、マグマ上への斜め衝突実験を開始する。この実験のためにさらにM2学生を雇用することを計画している。
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