研究課題/領域番号 |
22K18283
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡崎 啓史 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (90784257)
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研究分担者 |
澤井 みち代 千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (20760995)
武藤 潤 東北大学, 理学研究科, 教授 (40545787)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2024年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
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キーワード | 沈み込み帯 / 地震 / スロー地震 / 摩擦 / 岩石変形実験 / 高温高圧 |
研究開始時の研究の概要 |
マグニチュード9を超える超巨大地震は沈み込み帯のごく限られた深さ(23~34km)でしか発生していない。本研究では、超巨大地震発生域原位置の温度・岩圧・間隙水圧を真に再現した岩石変形実験により、超巨大地震発生域に存在する超高圧な水が地震時の高速すべりやゆっくりすべりなどの多様な断層すべり挙動にどのような影響を与えているか調べる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、超巨大地震発生域原位置の温度・岩圧・間隙水圧を真に再現した岩石変形実験により、超巨大地震発生域に存在する超高圧な水が地震時の高速すべりとその先行現象となるゆっくりすべりなどの多様な断層すべり挙動にどのような影響を与えているかについて検証することである。そのために本研究では、申請者らが近年開発している改良Griggs型高温高圧岩石変形試験機に、 開発 ①:世界初となる1000MPaが発生可能な間隙水圧発生器の開発、 開発 ②:溶融プラスチックを封圧媒体に用いた高温液圧化および応力測定の高精度化、 開発 ③:試験機の剛性率を任意に変化させることによる多様な断層すべり挙動の再現、 の3点の技術開発をおこなうことにより、世界初の超巨大地震が発生する原位置環境を再現した岩石変形実験による高速断層運動の直接観察と断層物理パラメーターの測定をおこなうことを計画していた。 2022年度は本研究の肝となる最大間隙水圧を1000MPa程度まで拡張するため開発に成功した(開発①)。さらに最大1379MPaまで測定可能な圧力計を設置することにより、発生させた超高間隙水圧を精度良く測定できるようにもなった。また、溶融プラスチックを封圧媒体に用いた高温液圧化および応力測定の高精度化(開発②)についてもポリエチレンを用いての高温高圧実験が可能になった。加えて試料アセンブリ上部に使用していた鉛をより低融点を持つインジウムに変更したことにより試料にかかる応力以外の摩擦を大幅に軽減することができた。試験機にその剛性率を任意に変化させることのできる機構については現在開発中であるが、標準的な剛性率下での東北沖アウターライズ域から採取された堆積物についての高温高圧高間隙水圧下での摩擦実験について開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
円高及び材料費の高騰などにより当初予定していたよりも試験機の開発に予算がかかりはしたものの、研究初年度である2022年度中に研究の肝である間隙水圧発生器及び圧力計の設置に成功した。現在、予想外の箇所からの間隙水圧のリークを確認したが、圧力保持に問題はなく当該研究費の予算を用いて試料アセンブリの改良をおこなうことで改善が可能であると考えられる。2023年度からは巨大地震発生域原位置の温度・岩圧・間隙水圧を真に再現した岩石変形実験を遂行することが可能になったため、現在までの進捗状況としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度中に間隙水圧発生器及び圧力計の設置が完了したため、2023年度からは巨大地震発生域原位置の温度・岩圧・間隙水圧を真に再現した岩石変形実験を遂行することが可能である。今後に関しては東北アウターライズ域から採取された遠洋性堆積物が将来的に沈み込み帯の地震発生帯へ沈み込んだ際にどのような摩擦挙動をするのかについて調べていく予定である。
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